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赤毛のアン

Anne of Green Gables

『赤毛のアン』アン・シャーリー illustrated by 夏ミトン
illustrated by 夏ミトン
赤毛のアン(3) [DVD]
巻数
第03巻
DVD品番
BCBA-0092→3609
発売日
1999年03月25日
収録時間
103分
ディスク
片面1層
ファイル
ドルビーデジタル
音声種別
モノラル
字幕
日本語(ON/OFF)
税別定価
¥3,800→¥1,800
メーカー
バンダイビジュアル
HP
詳細ページ ※外部
スタッフ/データ
演出
高畑勲
演出助手
楠葉宏三
脚本
神山征二郎
高畑勲
絵コンテ
奥田誠治
場面設定
宮崎駿
画面構成
宮崎駿
背景
野崎俊郎
菅原聖二
横山幸博
美術助手
阿部泰三郎
仕上検査
保田道世
制作進行
小泉正二
作画
篠原征子
桜井美知代
新川信正
岡豊
大島秀範
オープロダクション
村田耕一
才田俊次
後藤紀子
橋本淳一
本放送日
1979/04/01
視聴率
15.6%
登場人物/キャスト等
あらすじ
第13章

アン・学校へ行く

[01:25]Aパート
マシュウ、マリラ、ジェリー・ブートの3人での朝食。
「今年の取り入れはお天気に恵まれそうですね」
「そうさのう」

「レイチェルの所では昨日からカラス麦の刈り入れを始めたそうですよ」
「そうさのう」
「まだ眠ってるのかなあの子は」

「学校にはいくら何でもまだ早いですよ」
「そうさのう、学校にはな」
「うまくやってくれるといいんだけれど…」

「そうさのう、心配は要らんよ」
「ダイアナと一緒だし大丈夫だとは思うけれど、あの子は変わってますからねぇ」
「それに学校のことなんてあたしたちにはまぁるで余所のことだったから…」

「そうさのう、心配は要らんよぉ」
マシュウは立ち上がり仕事へ向かおうとすると、ジェリー・ブートもついて行きます。
「ずずず、おわ、うぅぅい」
「そうだといいんだけれど…」

アンはまだ寝ています。
マシュウが乗って待つ馬車の荷台にジェリー・ブートがピッチフォークを2本投げ入れると自分も乗り込みます。
「ギタップ」

マリラが井戸の水を汲む音でアンは目を覚まします。
「あっ、今日から学校だわ!」
アンはとび起きて窓を開け、乗り出すようにして外に顔を出します。

「マシュウ~! おはよう! 今日から学校よ!」
「そうさのう、しっかりな」
「大丈夫よぉ、いってらっしゃーい!」
「ああ」

「いいお天気になりそうだわぁ」
「ダイアナ!おはよう!」
アンは手を腰にやって屈伸したのち、背伸びをします。
「ん…ん…、おおぉ…おぉ~」

マリラは鶏舎でニワトリの卵を集めています。
「おはようっ! マリラ!」
「おや、ずいぶん早いじゃないか」

「だって今日から学校だもん、ふふふっ、さっきマシュウとジェリーが出ていくので目が覚めたの」
「今日から麦の刈り入れだから朝が早いんだよ、もっと寝てた方がよかったのに」
「平気よ」

「あたしやるわ」
「そうかい? じゃ頼んだよ、あたしは乳をしぼってくるから」
「うん!」

母ネコと4匹の子ネコが小屋から出てきます。
マリラは牛の乳搾りをし、アンはベッドを整えます。
マリラはアンの弁当用にミルクポットから牛乳瓶にミルクを移します。

「済んだわ」
「いつもその調子でテキパキやってくれれば助かるんだけどね」
「あら、あたしいつもそのつもりなんだけど」

「あぁっ、それあたしのお弁当?」
「そうだよ」
「素敵だわ~、こんなお弁当を持って学校に行けるなんて」

「あたしトマスのおばさんの家からお弁当を持って学校に行ったことがあるけど、いつも固くなったパンだけだったわ」
「ちょっとのぞいていいかしら?」
「さあさあせっかく早く起きたんだからぐずぐずしてないで食事にしなさい」

「学校へ行くようになっても皿洗いはあんたの仕事に決めてあるんだからね」
「ええ分かってるわ」
弁当が入っているバスケットをのぞこうとするアン。

「アン!」
「うっ」
「は~ぃ…」

マシュウは麦刈りの機械を馬に引かせ、ジェリー・ブートは刈られた麦を集めて束ねます。
アンはもう食べ終えたようで、お喋りをしながら皿洗いをします。
「あたし、ダイアナと恋人たちの小径の途中にある丸木橋で待ち合わせることにしたの」

「恋人たちのこみち?」
「ほら、川沿いの道よ」
「本当に恋人たちが通るわけじゃないんだけど…、今ダイアナと読んでる本の中に、“恋人たちの小径”が出てくるのよ」

「だからあたしたちもそんな道が欲しいと思ったの」
「とってもきれいな名前だと思わない?」
「すごくロマンチックだわ~」

「その道を恋人たちが歩いていると想像できるでしょう?」
「あたしあの小道が大好き」
「あそこだと、頭に浮かんだことを大声で言っても、人に頭がおかしいと言われる心配がないんですもの」

「やれやれ、アン、その調子で授業中にお喋りなんかするんじゃないよ」
「大丈夫よ」
「さ、早くしないとダイアナを待たせちゃうよ」
「えっ、もうそんな時間?あぁぁ」

「じゃ、行ってきます!」
「あっ、それから何かあってもカンシャクを起こしたりしちゃダメだよ」
「大丈夫よぉ」

走っていくアン。
「行ってきまーす 雪の女王様ー!」
「あんまり慌てて転ぶんじゃないよ!」

アンは頭だけ振り返って…
「大丈夫! あっあっあっあああぁぁ…」
アンは転びそうになりますがなんとか堪えて、そのまま走り続けます。
「ふぅ」

アンは、はしばみ谷のネリーの曲を口ずさみながら歩きます。
「ランラランラランラランラ、ランララン…、ふふふっ」
「フンフフンフフンフフン…、フンフフンフンフフン…」
アンは待ち合わせの丸木橋に到着しましたが、ダイアナの姿はまだありませんでした。

アンは木にもたれかかってダイアナを待ち、バスケットを開け、中の包みを開けてみて微笑みます。
「うわぁぁ」
アンはトコトコと丸木橋のほうへゆっくりと歩き、小川を覗いてみます。

するとそこへ、そうっと背後からダイアナが近づいてきて…
「グリーン・ゲイブルズのアン・シャーリー!」
「ダイアナ~!」

「うふふふ、早いのねアン、待った?」
「ううん、今来たばかりなのダイアナ、たった今よ」
「こっちよね」
走って丸木橋を渡るアンとダイアナ。
「ふふふ、そうよ」

二人は牧場を駆け抜け、木の柵をくぐり、さらに走り続けます。
「ねえアン、少し休まない?」
「そんなに急がなくても大丈夫よ~」
「だって…」

「大丈夫だから~、アン」
ダイアナが止まったのを切欠にアンも止まります。
「ぞうか…」 「そうね!」
「そうよ~、ふふふっ」

二人はゆっくり歩いていくことにしました。
「ずいぶん張り切ってるのね」
「違うのよ」
「あたしね、孤児院でも走るのだけは得意だったの」

「ふふふふっ、どおりであたし追いつけなかったはずね」
「ああ~、でもなんて素晴らしい日なんでしょう」
「こんな日に生きているっていうだけで幸せじゃない?」

「それを逃しちゃうんだもの、まだ生まれてない人がかわいそうだわ」
「もちろんその人たちにだって、素敵な日は巡ってくるでしょうけど」
「でも今日という日は二度と永遠にこないんだもの」

「それにもっと嬉しいことは、学校に行くのにこんな素敵な道を通って行けることだわ、ねえ?」
「街道を回って行くよりずっといいわ」
「あの道は埃っぽくて暑いんだもの」

「ほら見て」
二人は立ち止まります。
「あの窪地にね、春になると一面にスミレの花が咲くのよ」

「そんなに?」
「足の踏み場に困るくらいよ」
「ふうん…」

アンの空想が映像化し始めます。
スミレの花が咲くなか、アンとダイアナが手を繋いで、もう片方の手に花を持ち、繋いだ手を中心にくるくると回っています。
アンの頭の中には、スミレの花が咲いている姿がはっきりと映っているようです。

「うわぁ~ダイアナ」
「だったら、だったらねぇダイアナ」
「あの窪地を“スミレの谷”って呼ぶことにしない?」

「スミレの谷?」
「そうよ、そうすれば花が咲いていない時だって、まるで一面のスミレが目に浮かぶようじゃない?」
「そうね、素敵ね」

「でもあそこ谷じゃないわよ」
「あら、だって名前がきれいな方がいいでしょ」
「それに谷だって想像すればいいわ」

「ふふふっ、それもそうね」
二人はまた歩き始めます。

「ここを抜けたら、アヴォンリー街道に出て、学校はそのすぐ向こうよ」
「素敵な樺の道ね」
「待って! ここはあたしに名前をつけさせて!」

「ええ、いいわよダイアナ」
「ふふふ、ええと…、そうねえ…」
“樺の道”っていうのはどうかしら?」

「…えぇ…」
アンにしてみればガッカリな名付けでしたが、そうとも言えず曖昧な返事をしました。
「あはははははは…」
「あはははははは…」

二人は柵の一部が階段になっているところから街道に出ます。
「あれよ」
ダイアナの指さす先、林の向こうに建物が見えます。
「あれが学校ね」

「ふふふ、そうよ」
「あっ、ああ…」
アンは躓きそうになって、ダイアナと顔を見合わせ…
「あはははは…」
「あはははは…」

二人は学校に到着しました。
するとダイアナはすぐに校舎には入らず、アンを校舎の裏のほうへと誘導します。
「ん?」 「こっちよ」

学校の裏には小川が流れていて、子供たちはみんなそこに牛乳瓶を置いて昼まで冷やしておくのです。
アンがこうして教わっている間も何人にも挨拶して、ティリーとも知り合いました。

[12:40]Bパート
ダイアナとアンは小川から校舎のほうへと戻ってきます。
ダイアナは校舎に入っていき、アンもついていきます。
アンは不安そうにしていますが、ダイアナが教室に入るように促します。

ルビーが声をかけてきます。
「あっ、おはよう、ダイアナ」 「おはよう、ルビー」
ダイアナはルビーの右後ろの席まで歩いていき…
「ここがあたしの席よ」

「あなた、あたしの隣に座るといいわ」
「ずっと空いてたの」
「フィリップス先生何も言わないと思うわよ」

「よかったダイアナの隣で」
「先生は怖い人?」
「ええ、でも…」
何か言いかけましたが、ここで鐘を鳴らす音がします。

男の子たちが急いで教室に入ってきて、直後にフィリップス先生がやってきます。
プリシーが先生に挨拶します。
「おはようございます」
「おはよう」

「プリシーはもう大人なのよ」
「先生はプリシーにぞっこんなの、ふふふ」
「へぇ~」

教壇に立つ先生。
「ええ~諸君、おはよう」
「おはようございます!」
「さてと…、アン・シャーリー」

「君がノヴァスコシアの孤児院から来たアン・シャーリーですね?
アンは少しムッとしながら…
「そうです」
「でもあたしはグリーン・ゲイブルズから来たんです」

クスクスと子供たちの笑い声が広がりつつある教室のなか、先生はオホンと咳払いをし…
「11才なら5学年ということになりますが、孤児院では何の巻をやっていたのでしょう?」
「4の巻の途中までです」

「うん…そうですか」
「じゃあ4学年に入れておきましょう」
アンはダイアナと顔を見合わせ、アンは席を立とうとします。

「あーいや、いいでしょう」
「とりあえずそこに座っていてよろしい」
「わぁ~」
ほっとして笑い合うアンとダイアナ。

「さて…、今日から新学期が始まる訳ですが、相変わらず男生徒の欠席が目立つようですねぇ」
「ソフィア・スローン、上の弟はどうして学校に来ないのですか?」
ソフィアは立って…
「チャーリーは、刈り入れの手伝いをしていまーす」

教室の子供たちからは笑い声が上がります。
先生は静かにするよう教鞭で机をバシバシ叩きます。
「そんなことは分かっています!」

「私が問題にしているのは、男生徒も、できるだけ学期始めから出席するようにとの要望が、完全に無視されている事実なのですよ」
ソフィアは小声で隣のティリーに呟きます。
「そんなこと言ったって忙しいんだから無理よね」

ソフィアの言にダイアナもうんうんと頷き、その姿をアンは横目で見ています。
「いくら農業が忙しいからといって、学校をないがしろにしていいということにはなりません!」
「ま、それはそれとして、3学年は地理」

先生は一番前の席に座っている男の子のほうへと歩いていき…
「前へ出て!」
「ひっ」

「よそ見の癖がまだ抜けないようですね、ノーマン・キャンベル君」
「はい…」
その様子を見ていたアン。
「ん…」

男の子二人の前で詩の朗読をする先生。
「“今や 桃と梨と共に秋もたけなわ 狩人の角笛がそこここに聞こえ 哀れヤマウズラは羽ばたきつつ 命をおとす”」
「“哀れヤマウズラは羽ばたきつつ命をおとす”」

「素敵な詩ね、あたしゾクゾクッとしたわ」
無言で頷くダイアナ。
アンは使っていた石板を裏返し書き始めます。

[16:05]POINT
「“哀れ… ヤマウズラは… 羽ばたきつつ… 命をおとす”」
そんなアンの横にはいつの間にか先生が立っていたのですが、アンは夢中になっていて気付いていません。
「(アン!)」

「えっ?」
石板をそっと取り上げる先生。
「あっ」

「アン・シャーリー、なかなか伸び伸びやっていますねぇ」
「えっ…、いえ、あの、先生が読んでおられた詩があんまり素晴らしかったのでつい…」
「伸び伸びやるのも時には大切なことではありますよ」

「ではありますが、しかし、おお!これは酷いつづり字だ」
下唇を噛むアン。
「あなたは確か、分数の割り算に取り組んでいるはずでしたねぇ」

「え! どうなんです!?」
アンは小さく頷きます。
「さて、肝心の分数はと…」

「これはダメだ…、分かってない!」
「ええ、やり方を教わってなかったんです」
「アン・シャーリー、これがあなたの努力の結果であるとしたら我慢もしましょうが、しかし…」

先生はアンの石板を高く掲げ…
「ご覧なさい皆さん、はたしてこんなことで、ほかの組の授業に聞きほれていていいのでしょうかねぇ」
アンと同い年くらいの男の子が口笛を吹きます。
「ピュウ」

誰が吹いたのか先生はその方向を見るが分からず…
「オホン…」
「アン・シャーリー、もう一度計算をやり直してごらんなさい!」
そう言い残してフィリップス先生は教室の一番後ろへと向かいます。

「さてプリシー、今日はカナダ史をじっくりと準備しましょうか」
プリシーは頷き、先生はプリシーの隣に座ります。
アン以外の女の子たちは横目でその様子を見ていましたが、先生が座ると一斉に前を向きます。

「あんなこと気にしなくていいわよアン」
「先生はいつもああなんだから」
ティリーも囁きます。
「そうよー」

「ありがとう、でも注意されても仕方ないのよ」
「あたし算数遅れてるんだもん…」
「チッチッチッチッ」
口笛を吹いた男の子が先生に見つからないように四つん這いになってアンの足元まで来ていました。

「あんな奴、カッ!(首を切るような仕草)さ」
アンはちょっと驚きましたが、笑みがこぼれました。
先生はパンパンと手をたたき…
「静かに!」

男の子はまた机の下に隠れながら帰っていきます。
「静かに自習を続けないと泣くのは君たちですよ」
アンとダイアナは顔を見合わせ…
「うふふふ」
「うふふふ」

やがてお昼になり、小川から牛乳瓶を取り出します。
アンはダイアナのほか、ルビー、ティリー、ソフィアと草原でランチをとります。
「でもアンは初めてなんだから、もっと優しくすべきよねぇ」

ティリーも同意します。
「そうよ、ひどすぎるわよ」
うんうん頷くソフィア。
ルビーも声をかけます。
「ね、これ食べて」
手のひらに青リンゴをのせてアンに差し出します。

「わぁ~」
「あたしもあなたの味方よ♪」
「ありがとうルビー」
リンゴを受け取るアン。

今度はティリーがアンの前にやって来て…
「このビーズの指輪、午後の間はめてていいわ」
「うわぁ~」

「フィリップスよけのおまじないよ!」
「わぁ! うふふふふ、ふふふふ…」
「あはははは…」

「みんなありがとう」
「あたし、お礼にあの詩、朗読するわ」
周りから歓声が上がります。
「うわぁ~」

ダイアナ、ルビー、ソフィアの拍手に迎えられ、アンはみんなの中央に立ちます。
「“今や 桃と梨と共に 秋もたけなわ…” ん?」
ムシャムシャと食べる仕草をするアン。
「うふふふ」

「“狩人の角笛がそこここに聞こえ…”」
「パンパラパー、ズドーン! あっ、あああ…うぅぅ…、う!」
アンは角笛を吹く仕草、鉄砲を撃つ仕草、そして胸を撃たれた仕草と三役を連続で演じます。

「“哀れヤマウズラは 羽ばたきつつ 命をおとす…”」
羽ばたく仕草ののち…
「ガクッ」

周り中から拍手が起こります。
「うわぁ~」 「すごーい」 「アンって面白いのね」
ダイアナに抱きつくアン。
「あ・ふ」

「ねえ、みんなで『はしばみ谷のネリー』を歌いましょうよ」
ティリーが同意します。
「賛成!」

ジェーンが加わって6人で手をつないで歌います。
「♪懐かしき友は ネリーに駆け寄り 手をとりあいて 涙にくれぬ」
「♪歌え 歌え この喜びを はしばみ谷の…」

やがて午後の授業が終わり、アンとダイアナは帰り道でもはしばみ谷のネリーを歌います。
「♪歌え 響け はしばみ谷の こだまを返す 乙女の喜び」
「♪歌え 響け はしばみ谷の こだまを返す 乙女の喜び」

小川に架かる橋でアンとダイアナは別れます。
「じゃあね~」
「また明日ね~」

「は・ふ・は・ふ…」
アンは走って帰ってきてドアを開けます。
「ただいまー!」

[20:45]POINT
「…お帰り、学校はどうだったね?」
「あたし、ここの学校好きになれそうよ」
「そう~、そりゃよかった」
アンはバスケットから牛乳瓶を取り出し、洗いながら話し始めます。

「だけど先生は大した人じゃないと思うわ」
「いつも口ヒゲをいじったり、プリシー・アンドリュースに色目を使ったりしてるんですもの」
「ほら、プリシーはもう大人なのよ」

「今16でクイーン学院の準備をしてるんだけど、先生は大抵プリシーの所に座ってるの」
「勉強を教えるためだと言ってね」
「でもみんな言ってたけど、先生はプリシーにぞっこん参ってるんだって」

「ルビー・ギリスが見たとき、先生がプリシーの石盤に何か書いたら、プリシーがそれを読んで真っ赤になってクスクス笑ったんだって」
「それは勉強とは関係ないことだろうって…」

「アン・シャーリー!」
「あたしの前で二度と先生のことをそんな風に言うんじゃないよ」
「あんたは先生のあら探しをしに学校に行くんじゃないんだよ」

「勉強するのがあんたの務めなんだから」
「いいかい、家に帰ってきて、先生の陰口を言うんじゃないよ」
「でも、フィリップス先生はひどいのよ、あたしが…」

「その話はもういいよ」
「学校では大人しくしていたんだろうね~?」
「もちろんよ!」

「それにみんなとっても親切だったわ」
「友達が大勢いるっていいわね~」
「ダイアナのおかげですぐ仲良しになれたの」

「お昼にみんなで『はしばみ谷のネリー』を歌ったのよ」
「あたしダイアナに教えといてもらってほんとによかったわ~」
「勉強のほうはどうだったんだね?」

アンはちょっと表情を曇らせて…
「あたし、ほかの子供たちよりもずっと勉強が遅れてるの」
「ダイアナたちはみんな巻の5をやってるのに、あたしはまだ4なの、恥ずかしいわ」

無言で頷くマリラ。
「それに算数はもっと遅れてるの」
「でも、いくらなんでもフィリップス先生のやり方はひどいわ、あっ」
アンは手で口を塞ぎます。

「だからあたし、うんと頑張って取り返そうって決心したの」
「そうだよ、勉強は一生懸命しなくちゃね」
「あぁそれからねマリラ、ジェーン・アンドリューズが言ったんだけど…」

「プリシー・アンドリュースが、あたしの鼻がとっても素敵だってセーラ・ギリスに話したのを聞いたって、ミニー・マクファーソンがジェーンに言ったんですって」
「マリラ、あたし人から褒められたの生まれて初めてなのよ」

「とっても変な感じがしたわ~」
「ほんとにあたしの鼻、素敵?」
「マリラなら本当のこと言ってくれるでしょう?」

「ああ、あんたの鼻は…、まあまあだよ」
「そんなことよりアン、早く着替えてきて支度を手伝っておくれ」
「もうすぐマシュウたちがおなかを空かせて帰ってくるんだよ」

「ええ! すぐ着替えてくるわ」
小走りで部屋を出ていくアン。
「ふぅ…、やれやれ、あれなら何とかやっていけそうだ」

アンは自分の部屋で着替え始めますが、途中で鏡に顔を映して鼻をつついてみたりします。
「ふふっ」
「あたし、学校好きになれそうよ」

[24:15]予告
ハンサムでイタズラ好き、人気者だったギルバート・ブライスが学校へ戻ってきます。
次回『赤毛のアン』第14章 「教室騒動」お楽しみに。

[24:30]エンディング