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赤毛のアン

Anne of Green Gables

『赤毛のアン』アン・シャーリー illustrated by 夏ミトン
illustrated by 夏ミトン
赤毛のアン(1) [DVD]
巻数
第01巻
DVD品番
BCBA-0090→3607
発売日
1999年03月25日
収録時間
128分
ディスク
片面2層
ファイル
ドルビーデジタル
音声種別
モノラル
字幕
日本語(ON/OFF)
税別定価
¥3,800→¥1,800
メーカー
バンダイビジュアル
HP
詳細ページ ※外部
スタッフ/データ
演出
高畑勲
演出助手
馬場健一
脚本
神山征二郎
絵コンテ
池野文雄
場面設定
宮崎駿
画面構成
宮崎駿
背景
菅原聖二
横山幸博
美術助手
阿部泰三郎
仕上検査
小山明子
制作進行
小泉正二
作画
篠原征子
富沢信雄
新川信正
坂井俊一
岡豊
桜井美知代
オープロダクション
村田耕一
才田俊次
友永和秀
本放送日
1979/02/04
視聴率
15.5%
登場人物/キャスト等
あらすじ
第5章

マリラ決心する

[01:25]Aパート
アンを乗せたマリラの馬車は、ホワイトサンド・ホテルの前を通過し、スペンサー夫人の家に到着します。
小さな女の子たちが遊んでいる声が聞こえてきます。
庭でスペンサーさんの娘フローラと、汽車でアンと一緒だったリリーが遊んでいるのです。

マリラが来たことを窓越しに見て、スペンサー夫人が玄関から出てきました。
「あら、こんにちはカスバートさん」

「まさか今日お見えになるとは思っていませんでしたわ」
「さ、どうぞ馬を中へお入れになって」
「アン、あなたも元気?」

(棒読みで)おかげさまでこの通り元気です」
「そう、それはよかった」
「その… 実はスペンサーの奥さん…」

逃げるリリーをフローラが追いかけています。
「そーら捕まえた」
「きゃはははは… あっ アンだ!」

リリーがアンのもとへ駈け寄り、フローラもやってきます。
「こんにちはカスバートさん」
「こんにちはフローラ」

リリーは嬉しそうにアンを見上げます。
「うふふふふ」
しかしアンがずっと不機嫌な表情のままなのでリリーはつまらなくなってしまいます。

「しゅっぱーつ! シュッシュッポッポッ シュッシュッポッポッ …」
来たときのようにリリーをフローラが追いかかる形で2人は木にぶら下がっているブランコのほうに行ってしまいます。

「リリーはとってもおとなしくて素直な子なんですよ、もうすっかり懐いてくれましてね」
「あの子たちったら、もう実の兄弟のようでしょう?」
「主人もとても喜んでますのよ」

「あの…実はね奥さん、どこかで妙な行き違いがあったらしいんですの」
スペンサー夫人は驚きと不安の表情を浮かべます。
「実は…」

マリラはちらっとアンのほうを見て言います。
「あたしたち、10才くらいの男の子をもらって来て下さるようにおことづけしたんです」
スペンサー夫人は聞き間違いを疑うように尋ね返します。
「はっ…何ておっしゃいました?」

「あたしどもの欲しかったのは男の子なんですの」
「まさかそんな… だって…」
「弟のロバートは、娘のナンシーを使いによこして、あなた方が女の子を欲しがってらっしゃるって…」

マリラは目を閉じて、無言で首を大きく横に振ります。
「まあ~どうしましょう」
「でもこればかりはあたしのせいじゃ無いんですのよ、カスバートさん」

「まあ本当にナンシーときたらそそっかしくて…」
「あたしたちが悪かったんですよ」
「大事なことなんだから自分でお願いに上がるべきでした」

「ふぅ、とにかくこうなった以上なんとか始末をつけるしかないでしょうね」
「この子を孤児院に返せるでしょうか?」
無邪気に遊ぶリリーとフローラの声が聞こえてきますが、対照的にアンの表情は不安で一杯になります。

「まだ引き取ってくれると思いますがどんなもんでしょう?」
「そりゃあ、間違いだったんですから…あっ でも返す必要ないと思いますわ」
「昨日、ブルエットの奥さんがみえて、手伝いの女の子を頼みたかったとおっしゃってたんですの」

「ブルエットの奥さん…」 マリラは、意外というような声で復唱しました。
「あちら大家族でしょ、なかなかお手伝いの来てが無いらしいんですのよ」
「アンならちょうどいいじゃありません?」

「あのブルエットさんねぇ…」
何か気にかかるようで、マリラは表情を曇らします。
「あら~こんないい話ございませんでしょ、これこそ神様のおぼしめしですわ」

アンのほうを見たマリラの表情は、やはり曇るばかりです。
「まあ! 噂をすれば影とやら、ブルエットの奥さんですわ」
マリラもアンも海岸のほうの道へ視線を移すと、一人のご婦人が歩いてきていました。

「まあなんて都合のいいことでしょう」
「ちょっとお待ちになって」
「ブルエットの奥さん!」

ちょっと離れたところでスペンサー夫人はブルエット夫人と話します。
マリラとアンは顔を見合わせたあと2人のほうを見ながら待ちます。
スペンサー夫人とブルエット夫人は話しながらアンたちのほうへ歩いてきます。

「ちょうどこんな時にいらっしゃるなんて、神様のおぼしめしですわ」
「ほら、この子ですの」
ブルエット夫人は冷たい目でじーーーっとアンを見ます。

覗き込むように見るブルエット夫人に詰め寄られてアンは怯えて後ずさりしてしまいます。
アンはうつむきますが、ブルエット夫人はアンの顎をつかんで顔やその表情を見ると手を離してアンに尋ねます。
「年はいくつで、名前は何と言うんだね?」

アンは口をぎゅっと結び、目を合わさずにじっと真正面を睨んだまま答えません。
「え!?」
「・・・・・」
「年を聞いてるんだよ!」

アンが答えないのでスペンサー夫人が口を挟みます。
「11才ですよブルエットさん」
「悪いけどあたしゃこの子に答えてもらいたいんでね!」

スペンサー夫人とマリラは目を丸くして顔を見合わせます。
スペンサー夫人は、とりあえず仕切りなおそうと持ちかけます。
「まあまあ、あのこんな大事なお話を外ではなんですから、どうぞ中へお入り下さいな、さ、どうぞどうぞ」

「フローラ! お茶を入れてちょうだい」
「はいお母さま!」
ブルエット夫人を先頭に一同が家の中へ入っていきます。

「いかがなものでしょうねぇ、ブルエットさん、この子こそおあつらえ向きだと思いますわ」
ブルエット夫人はお茶を飲みながらアンに近づいてきます。
「ま、見てくれは良くないね」「でも芯は強そうな子だ」

「芯の弱い子は何をやらせても役立たずだからねぇ、その点は心配なさそうだ」
「あたしゃこの強情さが気に入りましたよ」
「まぁ」
スペンサー夫人は喜びの表情を浮かべます。

ブルエット夫人はアンに詰め寄って言います。
「いいかね! 私が引き取るとしたらいい子でなけりゃダメだよ! いい子で、利口で、行儀正しくねっ!」
「食べさせてやるんだからそれだけの働きをしなくちゃ」

「・・・・・」
アンは表情を固めたまま何も言いません。
「それじゃぁこの子は引き取りましょう」
ここに至るとアンは落胆、悲しみ、絶望といったような表情になります。

「赤ん坊がひどくむずかるもんでね、もうお守りでクッタクタ…」
愚痴を言うブルエット夫人に対して、スペンサー夫人は身内のミスを解消できるものと思ってか大変な喜びようです。
「これでほっとしましたわ、本当にあたし、一時、どうなることかと…」
「なんならこのままあの子を家に連れて帰ってもよござんすよ」

[08:10]POINT
マリラは2人の会話を聞きながら、悲しみの表情のままじっとしているアンを見て考えを巡らし、口を開きます。
「そうですね、どうしたらいいか…」

マリラは飲んでいたお茶を置いて立ち上がります。
「別にあたしたち、あの子を引き取らないとはっきり決めた訳じゃないんですよ」
「えっ」

「えっ」
スペンサー夫人は、そしてアンも、驚きの声を小さく上げます。
アンは涙をためていたようで、涙が頬をつたって落ちます。

「実のところ、マシュウはあの子を置いておく気があるらしいんです」
「で、行き違いの原因が分かった以上、もう一度連れて帰って兄に相談してみませんことには…」
「それであの子をブルエットさんにお願いするようでしたら、明日改めてお宅へ連れてまいりますし、もし伺いませんでしたら、あの子はあたしどもの家に置くことになったということにご承知願いたいのです」

マリラの話を聞きながら、アンは次第に笑顔を取り戻していき、最後には満面の笑みになります。
「あぁ」
アンは胸の前で手を組み、想像の中でたくさんの黄色いバラに囲まれます。

「いかがでしょう? ブルエットさん」
「仕方がありませんね、あんたが先に権利があるんだから…」
「あたしゃ料理カードを借りに来たんですよ」

「やれやれ、とんだ暇つぶしをしちまったよ」
「あっ ちょっとお待ちになって…」
帰っていくブルエット夫人をスペンサー夫人はあわてて追いかけます。

「ああ!」
アンは喜びの表情になって立ち上がり、マリラを見つめます。
アンは満面の笑みでマリラに近づきます。

「ああおばさん…」
アンは全身で喜びを表しますが、マリラは眉間に手を添えて考えこんだまま何も言いませでした。
アンは、今度はマリラとは反対方向を向いて手を前に組んでトコトコと歩き、ソファーに座って想像を巡らしました。
アンの想像の中では、花びらが舞い、白樺の林に取り囲まれていました。

そしてマリラとアンは馬車で帰路につきます。
馬車上でもアンは溢れるほどの喜びに満ちていましたが、ふと不安に駆られたようにアンはマリラを見上げました。

「さっきおばさん、あたしをグリーン・ゲイブルズに置いて下さるかもしれないって… 本当におっしゃったの?」
「ねえ! 本当におっしゃったわよね!?」
アンはまた不安な表情になります。

「はっ あたしが想像しただけなのかしら…」
「本当のこととそうでないことの区別がつかないくらいなら、あんたのその想像とやらはどうにかした方がいいと思うね」

「ああ~あんたの聞いた通りだよ」
アンはにわかに笑顔になります。
「でもまだ決まったわけじゃないし、もしかしたらブルエットさんにあんたを引き取ってもらうことになるかもしれないよ」

「あの人の方があたしよりもずうっと人手を欲しがっているんだから」
「あの人の所へ行くくらいなら孤児院に帰った方がマシだわ!」
「あの人ったらまるで… まるで錐みたい!」

「錐?」
マリラはビヨヨーンと細くなったブルエット夫人を思い浮かべて吹き出しそうになってしまいますが、何とか堪えました。
「オホン!」

「あんたのような小さな子が目上の、しかも知らないご夫人のことを、そんなふうに言うもんじゃないよ」
アンは何か言いたそうにしましたが、黙って何も言いませんでした。
馬車は海岸線を過ぎてグリーン・ゲイブルズを目指して進み続けました。

[12:25]Bパート
仕事が手につかないマシュウは、柵の入り口でマリラが帰ってくるのを待っていました。
“アンを連れて”帰ってくるのを。
一旦家のほうに向かいかけますが、もう一度振り返ってみます。

「ん?」
ついにマシュウは馬車が帰ってくるのを見つけます。
さらにマシュウは目を凝らします。

「あっ」
マシュウの顔から笑みがこぼれ、ほぉ~っとため息をつきます。
そして、いそいそと身を隠すのでした。

アンを乗せたマリラの馬車はグリーン・ゲイブルズへと帰ってきて、家の前で止まりました。
「馬車を片づけてくるから、あんたは2階で休んでなさい」
「何か手伝うことがあったら、あたしするわ」

「別にないよ」
「夕飯に呼んだら下りておいで」
アンは無言で馬車を下り、マリラは馬車を馬小屋のほうへと進めます。

「はぁ」
アンは馬車を見送り、家に入ります。
「ただいま… なんて言っていいわよね」
「ただいま、ボニー」
アンは2階へ上がり、ベッドに座って考えを巡らし、寝転んで微笑みます。

マシュウとマリラはともに牛の乳搾りをしながら話し始めます。
「よりによってあんなブルエットのかみさんになんか犬だってくれてやるもんか」
「何ですって?」

「い…いや、何でもないが…」
「いずれにしても、あの人の所にやるか家に置くか、2つに1つですよ兄さん」
「そうさのう」

「兄さんがあの子を欲しがっているのは分かっていましたからね、あたしもだんだん引き取るのが当たり前のような気がしてきたんですよ」
マシュウは満足そうな笑顔でウンウンと無言で頷きます。

「ふぅ… 」
「あたしは子供なんぞ育てたことはないし、大失敗するかもしれないけれど…あの子を置いてやっていいですよ」
「そうさのう、お前がそう考えてくれるだろうと思っていたよマリラ」

「あの子は全く面白い子だからのう」
「面白いより役に立つ方がいいんですけどね」
「そ、そうさのう…むろんお前の言う通りだが…」

「それからね、あの子のしつけはあたしがしますよ、あの子は女の子なんですからね」
「兄さんがくちばしを入れるのは、あたしが失敗してからで結構ですよ」
「分かったよマリラ、お前のいいようにやって構わんよ」

「ただ甘やかさない程度にやさしくやっておくれ」
「ふん、女の子と言えば死ぬほど怖がってた兄さんが、あきれたもんだ」
「あの子がここにいられるようになったことは今夜は話さないでおきますよ」

「きっとあの子は興奮して眠れなくなるだろうから」
「ふん、やれやれ…この先どうなることやら」
マリラは両手に牛乳の桶を持ってマシュウの前から立ち去ろうとします。

「すぐ話してやればいいのに意地を張りおって…」
マリラは立ち止まって振り向き、マシュウはビクッとなります。
しかしマリラは無言のまま再び歩きだします。

「ふう」
マシュウは機嫌よく口笛を吹きつつ、牛のお尻をたたいて牛を小屋に入れます。
「ほれっ!」

アンはマシュウに見守られながら本棚の扉を開け、振り返るとマシュウはパイプを持ったままウンと大きく頷きました。
アンは一冊の本を手に取り、窓のところに腰掛けて本をめくると、マシュウも無言でベッドに腰掛けます。
アンは本のことについて話しかけ、マシュウはウンと頷きます。
そうしていると階下からマリラの声が聞こえてきました。

「アン! アン! 食事だよ!」
「はーい!」
しかしこの直後アンは眠っていたので、本棚を開けるところからマリラに呼ばれるまではアンの夢だったようです。

「アン! 下りといで!」
アンが目を覚ますと、窓の外は夕焼け空になっていました。
「知らないうちに寝てしまったんだわ」

アンは夢の中で見ていた本棚があった場所を見ますが、そこには壁しかありませんでした。
「はぁ~」

3人はスープとパンの夕食を始めます。
アンは置いてもらえるのかどうか不安で、マリラやマシュウの顔色を見るのですが2人とも何も言わず、アンも何も喋らずにいたので夕食はとても静かなものとなりました。

食事が終わり、マリラはアンの部屋に行って窓のところにローソクを置きました。
「いいかねアン、ゆうべ、あんたは脱いだものを床の上に投げ散らしていたけど、着物は脱いだらすぐにたたんでイスの上に置きなさい」

「だらしのない子は嫌いだよ」
「あたし、ゆうべはとても悲しかったので、着物のことまで考えられなかったの」
「でも今晩はちゃんと上手にたたむわ」

「孤児院ではいつもそうさせられていたんだもの」
「でも、よく忘れちゃうの… 今晩は大丈夫! ちゃんとたたむわ」
マリラはにっこり微笑みます。

マシュウは居間のソファーでパイプを吹かし、満足げにしています。
アンは寝間着に着替え、服をきちんとたたんで、靴をそろえ、服をイスの上に置いてある鞄の上に置きました。
アンが微笑むと、一部始終を見ていたマリラは無言で頷きます。

「それじゃ、お祈りをしてお休みなさい」
「ローソクはあとで取りに来るからね」
「あたし、お祈りってしたことないの」

「え?」
部屋を出て行こうとしたマリラですが、驚いて振り向きます。
「今何て言ったの、アン」

「お祈りを教わったことないの?」
アンは無言のまま反応がありません。
「神様を知らないの?」

「神は無限にして永遠に変わることなき魂なり、知と力、聖と義、善と真なり」
「いくらかは知ってたんだね、よかった」「どこでそれを覚えたんだね」
「孤児院の日曜学校でよ、教義問答を全部習わされたの」

「わりと好きだったわ」
「時々とても素敵な文句があるんだもの」
「“無限にして永遠に変わることなし”なんて雄大ね」

「まるで大きなオルガンの音みたいに堂々としてるわ」
「詩と同じような響きがあるわ」
「今は詩の話をしてるんじゃないんだよ、お祈りのことを言ってるんだよ」

「毎晩お祈りをしないことがどんなにいけないことか分からないの?」
「あんたはとても悪い子みたいだね」
「赤い髪をしているといい人よりも悪い人になりやすいのよ」

「え…」
「赤い髪をしてない人はそれがどんなに嫌なことか分からないんだわ」
「トマスのおばさんから、神様がわざと私の髪を赤になさったんだって聞いたから、あたし神様なんかどうでもいいと思うようになったの」

「それに、あたし晩になるといつもお祈りどころじゃなかったの」
「双子の世話をさせられているのに、お祈りなんか無理だわ」
「あたしの家にいる間は、お祈りはしなくてはいけませんよ」

アンはウンと小さく頷きます。
「でも、何て言えばいいの?」
マリラはベッドに腰掛けます。

「考えてみればお祈りも面白そうね」
「素敵な言葉をいっぱい使えそうだもの」
「ひざまずきなさい、とにかく」

ベッドに座るマリラの方を向いて、アンは無言でそっとひざまずきます。
「なぜお祈りの時はひざまずくの?」
アンはマリラの膝にちょこんと手をのせて言います。

「あたしなら、たった一人で、深い深い森や、とっても広い広い野原へ行って空を見上げるの」
「底知れず青いあの美しい青空をずーっとずーっと上まで…」
「そしたら、お祈りしたような気持ちになると思うわ」

マリラは驚きの表情を浮かべます。
「さあいいわ、何て言えばいいの?」
マリラは胸の前で手を合わせて言います。
「これからあたしはお床について眠ります…」

目を閉じてじっと耳を傾けているアンを見て、マリラはそれ以上言うのを止めます。
「もう大きいんだから自分でお祈りくらいできるだろう?」
「神様のお恵みを感謝し、あんたの願いをかなえて下さるように、お願いしなさい」

「じゃ、できるだけやってみるわ」
「恵み深き天の父よ!」・・・
「教会で牧師さんがそうおっしゃってたわよね」

「恵み深き天の父よ、喜びの白い道や、きらめきの湖や、ボニーや、雪の女王のことであつくお礼を申し上げます」
「本当に感謝します」
「お願いの方はあんまりたくさんあって全部言うと時間がかかるので、一番大事なもの2つだけにします」

「どうかあたしが、グリーン・ゲイブルズにいられるようにして下さい」
「それから大きくなったら美人になれますように、お願いします」
「あなたを尊敬するアン・シャーリーより かしこ」

マリラは驚きとも呆れともとれるような表情になります。
「これでいいかしら?」
マリラは立ち上がります。

「もうちょっと考える時間があったら、もっと華やかな文句をつけ足すことができたんだけど…」
「さあさ、いいからお休み」
「はい、お休みなさい」

アンはベッドに入ります。
マリラはローソクをもって出て行こうとします。
「今気がついたんだけど“かしこ”と言う代わりに“アーメン”と言わなくてはいけなかったんじゃないかしら」
「牧師さんが言ってるみたいに」

「“かしこ”じゃ具合悪いかしら」
「悪くは… 悪くもないだろうよ」
「よかった、お休みなさい」
マリラは部屋を出て行きます。

[23:30]POINT
マリラは居間に帰ってきてローソクを置きます。
「マシュウ・カスバート!」
「あの子が今夜初めてお祈りをしたなんて信じられますか!?」
「ん?」

「何か適当な着物ができしだい、すぐに日曜学校へ行かせますからね」
「これからは忙しくなりそうです」
「ええ、ええ、世の中を渡ってゆくにはそれぞれ苦労を分け合わなくちゃならないけど、これまで気楽にやってきたあたしに、とうとう番が回ってきたようですよ」

「そうさのう、お前の出番のようだな」
マリラは仁王立ちしてやる気を見せるのでした。

[24:15]予告
翌日、この家にいてもよいと言い渡されたアンの喜びは、咲き乱れる野を駆けめぐります。
次回『赤毛のアン』第6章 「グリーン・ゲイブルズのアン」お楽しみに。

[24:30]エンディング