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赤毛のアン

Anne of Green Gables

『赤毛のアン』アン・シャーリー illustrated by 夏ミトン
illustrated by 夏ミトン
赤毛のアン(1) [DVD]
巻数
第01巻
DVD品番
BCBA-0090→3607
発売日
1999年03月25日
収録時間
128分
ディスク
片面2層
ファイル
ドルビーデジタル
音声種別
モノラル
字幕
日本語(ON/OFF)
税別定価
¥3,800→¥1,800
メーカー
バンダイビジュアル
HP
詳細ページ ※外部
スタッフ/データ
演出
高畑勲
演出助手
馬場健一
脚本
千葉茂樹
高畑勲
場面設定
宮崎駿
画面構成
宮崎駿
背景
スタジオ・アクア
石橋健一
仕上検査
保田道世
制作進行
竹内孝二
作画
篠原征子
富沢信雄
新川信正
オープロダクション
村田耕一
才田俊次
友永和秀
本放送日
1979/01/14
視聴率
21.7%
登場人物/キャスト等
あらすじ
第2章

マリラ・カスバート驚く

[01:25]Aパート
マシュウ・カスバートは孤児院から引き取るつもりの男の子を停車場まで迎えに行ったが、 そこに待っていたのは赤い髪をしたやせっぽちの女の子だった。

「まあ!」
夕焼け空に鳥の群れが飛んで行き、その先に橋のかかった湖が見えてきます。
「なんてきれいなんでしょう!」
「アヴォンリーに湖があるなんてほんとに素敵だわ!」

「まあ!あのスモモたち、まるで"つま先立ちして水の鏡に自分の姿を映そうとしている白い服の女の子”みたい」
アンにはキラキラと輝く湖面に、妖精たちが飛んでいる姿が見えていました。

「遅くなるから行くよ」
アンは湖面を眺めながら“うん”と頷きます。
「ギタップ」

橋を通り過ぎてもアンは振り返って湖を眺め続けます。
「おやすみなさい、きらめきの湖さん」
「あたし自分の好きなものに必ずおやすみなさいを言うことにしてるのよ」
「向こうだって嬉しいと思うの」

「ほら、あの湖ったらあたしのほうを見てにっこり笑ってるみたいだわ」
「あれはバリーの池だが…」
「あら!」 「でもあれは"きらめきの湖"よ」

「そう、ピッタリだわ」
「さっきぞくぞくっとしたもの」
「あたしピッタリの名前を思いつくとぞくぞくっとするの」

「でもどうして"バリーの池”なんて呼んでるの?」
「平凡すぎるわ」
「そうさのう…バリーさんがあそこの家に住んでるからだろうな」

マシュウは一軒だけぽつんと建っている家を指さします。
「"グリーン・ゲイブルズ"はあの向こう側だが…」
「まあ!」

「ねえバリーさんの所に女の子いる?」
「あんまり小さいんじゃなくて、あたしぐらいの子が?」
「うん…11ぐらいの子が1人いるよ、ダイアナといってな」

「まあ! なんてきれいな名前なんでしょう、月の女神のことね?」
「そうさのう…なんだか恐ろしく不信心者の名前のように聞こえるがな…」
「ほぇ?」

「そろそろ家だよ…"グリーン・ゲイブルズ”はあそこの…」
指を指そうとするマシュウの腕を押さえ、アンはをつぶります。
そのせいで馬車も止まってしまいました。
「お願い言わないで!」「あたしに当てさせて」
「きっと当ててみせるわ」

アンは目を開いて辺りを見まわし、グリーン・ゲイブルズをさがします。
左側に1軒だけぽつんと建っている家が見えてきたとき、アンは大きく目を見開きます。
「あれよ! そうでしょう?」
「そうさのう…当たったよ」

マシュウは馬車を進めます。
「だけどスペンサーの奥さんから聞いてたんで分かったんだろう?」
「いいえ違うわ」
「奥さんのおっしゃったことはどの家にも当てはまることばかりですもの」

「どんな所か全然見当もつかなかったのよ」
「でもあれを見たとたん、家じゃないかって気がしたの」
「ああ夢みたいだわ…」

「ねえ、あたしの腕きっと肘から上にかけてアザだらけよ」
「今日何度つねったか分からないんですもの」
「時々ひどい胸騒ぎがして、みんな夢じゃないかって心配でたまらなかったの」

「でもやっぱり本当なのね」
「もうじき家に着くんですもの」
心の底から嬉しさをあらわすアンに対して、マシュウの表情は曇っていきました。

やがて馬車はグリーン・ゲイブルズに到着しました。
マシュウはアンの腰を抱えて馬車から降ろします。
そしてアンを連れて勝手口から部屋に入りました。

[08:05]POINT
マリラはマシュウが帰ってきたのが分かったのか廊下側のドアから部屋に入ってきます。
「あら?」
「マシュウ・カスバート! それ誰なの?」
「男の子はどこ?」
アンの目が悲しげに見開かれます。

「男の子はいなかったよ」
「この子しかいなかったんだ」
「男の子がいなかったですって! そんなはずはないですよ」

「スペンサーの奥さんに男の子を連れて来て下さるように言付けたんだもの」
「い…いやぁ…そいつが上手くいかなくてな」
「奥さんが連れてこられたのはこの子なんだ…わしは駅長にも確かめたがね」

「何ですって! 奥さんには会わなかったんですか?」
「いや…その… うむ、ちょっと遅れてな」
「それでとにかくこの子を連れて来たんだよ」

「まあ~何ということでしょうね」
アンは感極まってカバンを落とします。
「あたしが要らないのね」
「あたしが男の子じゃないから要らないのね!」

マリラはびっくりして驚きの表情のまま固まってしまいました。
アンはマシュウのほうを見ますが、マシュウは目をそらしてしまいます。
「そんなことじゃないかって思ってみるべきだったんだわ」

「今までだれもあたしのこと欲しがる人なんていなかったんだもの」
「何もかもあんまり素晴らしすぎて、長続きするはずないって考えるべきだったんだわ」
「ああ~あたしどうしよう…泣き出しちゃいたいわ!」

「ああ~~~!」
そしてアンはテーブルに突っ伏してしまいます。
「ああ~! ああ~! ううぅ… ううぅ… ううぅううぅ… ~… ~… ……」

少女は胸も張り裂けんばかりに泣いた。 マリラとマシュウは途方に暮れて、ストーブごしに顔を見合わせるばかりであった。 2人ともどうしたらいいのか分からなかったのである。 が結局マリラがしどろもどろで矢面にたった。

「まあまあ、そんなに泣くことはないんだよ」
「いいえ、ありますわ! おばさんだって泣くわよ!」

見上げて訴えかけるアンにマリラは再び驚きます。
「おばさんがもしみなしごで、自分をもらってくれると思ってる家に言ったのに、男の子じゃないから要らないって言われたらおばさんだって泣くわよ!」
「ああ~あたしこんな悲劇的な目に遭ったことないわ!ああ~ううぅ」

こんな悲劇的な目に遭ったことないわ illustrated by ある名作ファン
illustrated by ある名作ファン

「さあもう泣かないでおくれ、今夜はここに泊まればいいから」
「ええと…」
マリラはマシュウのほうを向いて尋ねます。
「名前は何というんです?」
「いや…その、まだ聞いてなかったが…」

マリラは再びアンのほうを向いて尋ねます。
「あんた、名前は何ていうんだい?」
アンは涙を手で拭い、マリラを見上げて言います。

「あたしのこと、コーデリアと呼んで下さらない?」
「コーデリアと呼べだって?」
「それあんたの名前なのかい?」

「いえ…あの… あたしの名前ってわけじゃないんだけど…」
「あたしコーデリアと呼ばれたいの」
「素晴らしくエレガントな名前なんですもの」

「一体何のことかさっぱり分からないねぇ」
マリラとマシュウは顔を見合わせます。
「コーデリアじゃなかったら何ていう名前なんだね」

「…アン・シャーリーよ…」
アンは立ち上がって手を組み、マリラに向かってお願いのポーズをします。
「でもお願いだからコーデリアと呼んでちょうだい」

「あたしここにちょっとしかいないんだったら、おばさんがあたしのこと何て呼んだって大して変わりはないでしょう?」
「それに…アンていう名前は全然ロマンチックじゃないんだもの」

「ロマンチックじゃないだって? ばかばかしい!」
「アンは本当に分かりやすいちゃんとしたいい名前だよ」
「恥ずかしがるには及ばないよ」
「あら恥ずかしがってはいないわ」
「コーデリアの方が好きなだけよ」

「あたしいつも自分の名前はコーデリアなんだと想像してたわ」
「小さい時はジェラルディンなんだと思ってたけど…でももしアンて呼ぶんだったら…“e”のついた方のつづりで呼んで下さい」

「つづり方でどんな違いがあるっていうんだね」
「あら、大変な違いだわ」
「“e”がついてる方がずっと素敵に見えるのよ」

「おばさんは名前が呼ばれるのを聞くと、まるで印刷したみたいに目に浮かんでくることってない?」
「あたしはあるの」
「“e”がついてるアンで呼んで下さるんだったら、コーデリアと呼ばれなくても諦めるわ」

「分かったよ、それなら“e”がついてる方のアン! どうしてこんな手違いが起こったか分かるかね?」
「孤児院には男の子はいなかったのかい?」
「いいえ、わんさといたわ」

「でもスペンサーさんはおばさんたちが欲しがってるのは女の子だってはっきりおっしゃったわ」
アンとマリラは顔を見合わせます。
「あたしがどんなに喜んだかおばさんには分からないわ」

アンはうつむきます。
「昨日は一晩中眠れなかったのよ」
「ああ~なぜ駅であたしをほっといて下さらなかったの」

アンはマシュウのほうを見ます。
「“喜びの白い道”や“きらめきの湖”を見なかったら、これほどつらくはないんだけど…」
マリラもマシュウのほうを見て言います。
「この子は一体何のことを言ってるんですか?」

「こ、この子は…つまりその…この子はただ道でわしたちがした話のことを言ってるんだよ」
「馬を中へ入れてくるよマリラ」「戻ったらお茶にしてくれ」
マシュウは逃げるように勝手口から出ていってしまいます。

マリラは再びアンに話しかけます。
「スペンサーの奥さんはあんたの他に誰か連れて来たのかい?」
「おばさんはリリー・ジョーンズを連れてったわ」
「リリーはまだ5つでとっても美人なのよ、栗色の髪をしてるわ」

「もしあたしがとっても美人で栗色の髪をしてたらここにおいてくれる?」
「ダメだよ、あたしたちはマシュウの野良仕事を手伝ってくれる男の子が欲しいんだよ」
「女の子じゃあ役に立たないだろうからね」

マリラはアンのカバンと帽子を玄関に置くため部屋を出ていきました。
一人になったアンは色々と考えをめぐらします。
マシュウもまた馬を馬小屋に入れながら考えこんでいました。

[15:00]Bパート
3人は再度集まりお茶にしますが、アンはすぐにフォークとナイフを置いてしまいます。
「何も食べてないじゃないか」
「ふぅ…」

「食べられないの」
「あたし絶望のどん底に落ちてるんですもの」
「絶望のどん底にいる時に、おばさん食べられる?」

マリラは首をかしげます。
「絶望のどん底にいたことがないから分からないね」
「ないの?」

「それじゃ、絶望のどん底にいる時のこと想像したことがある?」
「いやないよ」
「なら、どんなものかお分かりにならないと思うわ」

「とても気持ちの悪いものよ」
「食べようとするとノドにかたまりが突き上げてきて、何も飲み込めなくなるの」
「たとえそれがチョコレート・キャラメルだったとしてもね」

「あたし、2年前にチョコレート・キャラメルを1つ食べたの」
「ほんとにおいしかったわ」
「よくそれからチョコレート・キャラメルを沢山持ってる夢を見るんだけど…いつも食べようとすると目が覚めてしまうの」

アンは“ふぅ”とため息をつきます。
「あたしが食べないからって悪く思わないで下さい」
「みんなとてもおいしいんだけど、ノドに通らないの」
マシュウも“ふぅ”とため息をつきます。

マシュウはアンとマリラのほうをキョロキョロと見て言います。
「この子はその…疲れてるんじゃないかな」
「寝かせてやったらどうだな、マリラ」
「そうしましょう」

マリラがドアを開け、部屋を出たアンは台においてあったカバンと帽子を持ってマリラの後について行きます。
マリラは明かりのローソクを持って階段を上り、右のほうにある部屋に入って、窓のところにローソクを置きます。

「じきにローソクを取りに戻ってくるからね」
「火を消すのはとても任せられないよ」
「火事でも起こされたらたまらないからね」
マリラは部屋を出て行きます。

一人になったアンはマリラが出て行ったドアのほうを見ます。
そして自分のカバン、部屋にあった針刺し、火のついたローソク、そしてその明かりが当たった窓際の壁と部屋の中を一通り見まわします。
殺風景な部屋で一人ぼっちの寂しさを再認識したのか、アンは急にブルブルと震えだします。

アンはまずワンピースの首のところにある止め具をはずし、次に靴下を下げてブーツと一緒に脱ぎます。
立ち上がってワンピースを脱ぐと床に放ってしまいます。
下着の上から寝巻きを着ると泣きながらベッドに入りました。

しばらくしてマリラが戻ってくると服や靴が脱ぎ散らかしてあり、目を見張ります。
アンは頭まで布団をかぶっています。

マリラはブーツを揃え、靴下をカバンのおいてある椅子の背もたれにかけ、服をたたんでカバンの上に置くとローソクを持って寝ているアンに声をかけます。
「よくおやすみ」

すると、寝ていると思われたアンが布団からガバッと顔を出し凄い剣幕で言います。
「どうしてよくおやすみなんて言えるの!?」
アンは涙を流して泣いていました。

「あたしにとって今夜みたいなひどい晩は初めてだど分かってるのに」
「ううぅっ うぅっ… ~… ~…」
マリラはやれやれ…という感じで無言で部屋を出て行きます。

[20:15]POINT
台所に戻ってきたマリラは食器を洗いながら、ソファーに座ってパイプを吸っているマシュウに話しかけます。
「さて困ったことになった」
「自分で行かないでことづけをしたりするからこんなことになるんですよ」
「兄さんか私かが、明日スペンサーの奥さんの所までひとっ走り行ってこなくちゃ」

「あの子は孤児院へ送り返すしかないもの」
「うむ…そういうことになるのかな…」
「そういうことになるのかですって?」
「そうだとは思わないんですか?」

「そうさのう…あの子はなかなかいい子だよマリラ」
「あんなにここにいたがっているのに送り返すなんて何だかかわいそうだよ」
「マシュウ・カスバート! まさかあの子をここへ置いてやるべきだなんて言うんじゃないんでしょうね!」

「そうさのう…いや…その…そういうわけのもんじゃないが…」
「わしは思うに… その…ともかく、あの子を家に置く…」
「ふぅ… 置けまいな…」

「そうですとも!あの子が何かの役に立つとでも言うんですか?」
「わしたちの方であの子の役に立つかもしれんよ」
「マシュウ・カスバート! あんたあの子に魔法でもかけられちまったんじゃないんですか」

「そ、そうさのう…あの子は実に面白い子だよ」
「駅からここへ来るまでのあの子のおしゃべりをお前にも聞かせたかったよ」
「ええ、あの子はまったく口がまわりますとも、私すぐに分かりました」

「そんなことはあの子の取り柄にはなりませんよ」
「私はおしゃべりの子は嫌いです」
「女のみなしごなんかいりません、そうですとも」
マリラは家事をこなしつつ自分にも言い聞かせるかのように言います。
「あの子はすぐに送り返さなくちゃいけません」

「わしの手伝いはフランス人の男の子を雇えるよ」
「それにあの子はお前の話し相手にもなるだろうし…」
「私は話し相手に不自由してません」
「あの子を置くつもりもありませんよ」

「そうさのう…お前の言う通りだが無論…ふぅ…」
「…わしは寝るよ」
マシュウは部屋を出て行きます。

「ふぅ~…」
マリラはため息をつき、頭が痛いのかこめかみを押さえます。
(挿入歌:あしたはどんな日)
マシュウとマリラはそれぞれ床につきますが、アンのことが気がかりで二人とも眠れないようです。

アンは泣き疲れたのか眠りに入り、“喜びの白い道”の夢を見ます。
マシュウとドライブをしたり、妖精たちに連れられて空を飛んだりします。
アンの気持ちは夢の中でだんだんと晴れていっているようです。

[24:15]予告
桜の花やタンポポが咲き乱れ、野ウサギが走り回る自然にアンはすっかり嬉しくなります。
次回『赤毛のアン』 「グリーン・ゲイブルズの朝」お楽しみに。

[24:30]エンディング