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赤毛のアン

Anne of Green Gables

『赤毛のアン』アン・シャーリー illustrated by 夏ミトン
illustrated by 夏ミトン
赤毛のアン(2) [DVD]
巻数
第02巻
DVD品番
BCBA-0091→3608
発売日
1999年03月25日
収録時間
128分
ディスク
片面2層
ファイル
ドルビーデジタル
音声種別
モノラル
字幕
日本語(ON/OFF)
税別定価
¥3,800→¥1,800
メーカー
バンダイビジュアル
HP
詳細ページ ※外部
スタッフ/データ
脚本
磯村愛子
高畑勲
絵コンテ
池野文雄
演出助手
腰繁男
背景
菅原聖二
玉利和彦
加藤富恵
西原繁男
作画
篠原征子
桜井美知代
富沢信雄
新川信正
岡豊
村田耕一
才田俊次
友永和秀
後藤紀子
本放送日
1979/02/11
視聴率
18.2%
登場人物/キャスト等
あらすじ
第6章

グリーン・ゲイブルズのアン

自分だけがよく承知している理由から
マリラはアンをグリーン・ゲイブルズに置くことに決めたことを 翌日の午後までアンに打ち明けなかった
(アンはマリラの洗濯を手伝い 木に張ったロープに洗濯物を干す)

朝のうちずっとマリラはアンに次から次へと色々な用事を言いつけ アンが忙しく立ち働いている間
その仕事ぶりを注意深く見守っていた
昼頃までに アンは気がきいていて素直で働き者で もの覚えが早い子だということがよくわかった

もっともアンにしてみれば 用事が多かったことと 置いてもらえるかどうかが心配で
とてもおしゃべりや空想にふけるゆとりがなかったことが幸いしたと言えるかもしれない
(干した洗濯物の向こうに猫の親子が通るのが見える)

(マシュウ マリラ アンの3人は食事を済ませ アンは皿を洗う)
(洗い終わったところでアンはついに口を開く)
「お願いです カスバートさん!」

「あたしをよそへやってしまうのか そうでないのかを教えて下さい」
(アンは胸の前で手を組み ブルブルと震えている)
「朝のうちずっと我慢してたんだけど もうとてもたまらないんです」

「あんたは言いつけ通りフキンをきれいな熱湯でゆすがなかったね」
「何か聞きたがるより まずそれをやってきなさい」
(アンは無言のままヤカンを流しに持っていき たらいにフキンを入れてお湯を注ぐ)

(フキンをすすいで絞って干すと アンはヤカンを元あったストーブの上に戻してマリラを見上げた)
(マリラは頷いて・・)
「さてと では話してあげようかね」

「あたしたちはあんたをここに置いとくことに決めたよ」
「つまりね あんたがいい子になるように努めて 感謝の気持ちを見せるならばだよ」
(嬉しくて涙を流しつつ目を閉じ 感動するアン)

「おや まあ どうしたんだい?」
「あたし 泣いてるの」
「どうして涙が出るのかわからないわ」

「うれしくてたまらないのに泣けてくるの」
「ああ うれしいなんてものじゃないわ!」
「あたし 白い道や桜の木を見てうれしかったわ」

「でもこの気持ちに比べたら・・・」
「ああ~うれしい以上よ」
「とても幸せだわ」

「あたし うんといい子になるように努めるわ」
「骨は折れると思うけれどね」
「でもあたし 一生懸命やってみます」

「だけど あたしはなぜ泣いてるのかしら おばさん」
「それはあんたがすっかり興奮しきっているからだろうよ」
「その辺のイスにでも座って気を静めなさい」

「あんたは泣くにしても笑うにしてもあんまり簡単すぎるよ」
「そう あんたはここにいてもいいんだよ」
「私たちもあんたに入り用なことはちゃんとしてあげます」

(このあたりからアンの耳には誰かの声が聞こえ始める)
「いらっしゃい アン」
「遊ぼうよ」

「学校にも行かなくちゃならないけど もうすぐ夏休みだから9月の新学期までは行ってもしょうがないしね」
「出ておいで」
「出ておいで 遊ぼう」

「いらっしゃい」
「アン!」
「いらっしゃい」

「アン」
「出ておいで アン」
「おいで アン」

「おいでアン」
「遊ぼうよ」
「いらっしゃい」

(急に外へ行こうとドアを開けるアン)
「どこ行くの?」
「雪の女王様にあいさつしてくるわ ここに置いてもらえることになったって!」

「あ お待ち!」
「すぐ帰ってくるわー」
(マリラの制止をきかずに出ていってしまうアン)

(アンは桜の木の足元まで走っていって挨拶する)
「こんにちは 雪の女王様」
(桜の木の下でくるくると舞うアン)

(アンは辺りを見回して・・)
「くぼ地のカバの木さーん!」
「小川やモミの木さーん!」

「こんにちはー! みんなよろしくねー!」
(そしてアンはその“みんな”のほうに走っていってしまう)
「わぁっ」
(それを窓越しに見たマリラは・・)

「アン」
「アン!」
「アーン!!」

(・・・)「ふっ」
(アンには聞こえなかったようで あきれたようにため息をつくマリラ)
(アンはグリーンゲイブルズの自然を 時間を忘れて満喫する)
(挿入歌:さめない夢)

アン・シャーリー illustrated by ある名作ファン
illustrated by ある名作ファン

(アンの目には妖精たちが遊んでいる様子が映っている)
(しばらく散策すると林の向こうに畑が見えてきて そこではマシュウが仕事をしていた)
「おじさーん! おじさーん!」

「ん?」
「おじさーん! あたし置いてもらえることになったのよー! グリーンゲイブルズに!」
「はぁ はぁ おばさんが・・」

「おばさんが・・ あっ あっ あっ」
(アンはマシュウに向かって走ってきたが 躓いてちょうどマシュウの胸に飛び込む形になった)
「おばさん あたしを置いてくれることに決めたんだって!」

「そうさのう そうさのう・・」
「ああ おじさん おととい馬車であたしの話したこと やっぱりみんな本当だったのね」
「おじさんの家の子になれたんですもの」

「そうさのう」
「あっ」
(夢見心地のアンは はっと思って 夢なんじゃないかと自分の腕をつねってみるのだった)

「あ痛っ!」
「夢じゃないわ 夢じゃないわ!」
「そうともアン 夢じゃないさ」

「お前はこれから“グリーン・ゲイブルズのアン”だよ」
「おじさーん!」
(あらためてアンはマシュウの胸に飛び込んだ)

「んん・・」
(マシュウは目を白黒させた)
「ありがとう おじさん」

(一方マリラは出ていったアンを庭で呼んでいた)
「アン!」
「アン!」
「アン!!」

「どこへ行っちまったんだろ」
「この調子じゃ先が思いやられるよ」
「ほんとにあの子は厳しくしつける必要があるね」
「ま 無理もないがね あんなに置いてもらいたがっていたんだから・・」

(アンとマシュウは一緒に歩いて帰ってきた)
(アンは白く咲いているリンゴの花を見て)
「ひと枝もらっていいかしら?」

「ああ~いいとも」
「わぁー」
(アンはちょっとためらうが リンゴの枝の先をちょっとだけ折る)

「あたしこれビンにさして食卓に飾るわ」
「うん」(大きくうなずくマシュウ)
(そして2人は家に帰ってきた)

(アンは家に入ろうとするが 裸足で歩き回って足が泥だらけなのに気付く)
(そしてアンはリンゴの枝を手すりに置き 外にあった大きなたらいで足を洗って雑巾で足を拭いた)
(アンはあらためてリンゴの枝を手にし家に入った)

(中ではマリラがボニーのいる窓の近くで編み物をしていた)
「一体全体今までどこへ行ってたんだね」
「あたしが呼んだのが聞こえなかったのかい?」

「ごめんなさい おばさん」
「あたし あんまりうれしかったもんだから 庭に出たら小川や森にもあいさつしたくなったの」
「みんな喜んであたしを迎えてくれたわ」

「それで時間がたつのをすっかり忘れてしまったの」
「そりゃあ あんたが喜ぶのは分かるけどね まだいろいろ話さなくてはならないことがあったんだよ」
「あんただってすぐ帰ってくるって言っただろ?」

「自分の言ったことが守れないようじゃあ ここには置けないね」
「はっ」
「足はふいて来たかい?」

「え? ええ」
「じゃ 手を洗ってお茶の支度を手伝っておくれ」
「はい!」
(アンは流しのところにリンゴの枝を置き 大きなビンを取り出して水を汲み入れ 枝を生けてテーブルに置いた)


(パイとドーナツが用意され マシュウ マリラ アンの三人はお茶にすることになった)
(マシュウはニコニコしながらお茶をカップからソーサーに移して飲み マリラとアンはカップから直接飲む)
「ねえ おばさん」
「おばさんやおじさんのこと 何て呼んだらいいかしら?」

「いつもカスバートさんって言うのかしら・・」
「マリラおばさんと呼んでもいい?」
「いや ただマリラと呼びなさい カスバートさんなんて呼ばれたことは滅多にないから落ち着かないよ」

「でもマリラと呼びすてにするなんてとても失礼に聞こえるわ」
「あんたが尊敬の気持ちを込めて言うように気をつければ失礼なことなんかないだろうよ」
(うん・・と小さく頷くアン)

「やっぱりあたしマリラおばさんって呼びたいわ」
「あたしにはおばさんも親戚も全然いないの おばあさんさえもよ」
「マリラおばさんと呼べたら本当に家族の一員になったような気がすると思うわ」

「マリラおばさんと呼んじゃダメ?」
「ダメだよ」
「あたしはあんたのおばさんじゃないんだし 自分のものでない名前で呼ばれるなんてごめんだよ」

「でも3人でおばさんがあたしのおばさんだと想像すればいいでしょ」
「あたしはできないね」
「おばさんは何でも実際とは違ったように想像することはないの?」

「ないよ」
「まあ それじゃずいぶんつまらないでしょうね」
「物事を実際とは違ったように想像するのはいいこととは思わないよ」

「おじさん おじさんのことはマシュウおじさんと呼んでいい?」
「そうさのう・・」
「わしもただマシュウと呼んでもらった方がいいよ」

「そう・・」
(・・・・・)
「アン お茶が終わったらわしたちの飼っている生き物を見に来るかね? 猫もいるがな・・」

「あら 猫がいるの? 見たいわ!」
「ダメだよ お茶の片づけがあるし 暗くなる前にあんたは“主の祈り”を覚えなくちゃならないよ」
「ゆうべのようなお祈りは二度と聞きたくないからね」

「わかったわ」
「あたし ここの子になったんだもの 猫はいつでも見られるわ」
「そうさのう いつでも見られるがな・・」

(お茶が終わり マシュウは寂しそうに家を出て 振り返りながらとぼとぼと歩いていった)
(アンはお茶の片づけをしているマリラを手伝いながら尋ねる)
「あたし このアヴォンリーで心の友が持てると思う?」

「え? 何の友達だって?」
「心の友・・ ほら 仲のよい友達のことよ」
「心の奥底を打ち明けられるウマの合う人のことよ」

「あたし そんな人に巡り会える日のことをずっと夢みてたの」
「素敵な夢がいっぺんに叶えられたので ひょっとしたらこれもそうなるんじゃないかって思うの」
「うまくいくかしら?」

「ダイアナ・バリーなら向かいの丘に住んでいるがね あんたと同い年ぐらいでとってもいい子だよ」
「わぁー!」
「家に帰ってきたらあんたの遊び友達になるかもしれないね」

「ちょうど今カーモディーのおばさんの所に行ってるがね」
「でもお行儀に気をつけなくちゃダメだよ バリーの奥さんはとっても気難しいからね」
「ちゃんとしたいい子でないとダイアナと遊ばせないんだよ」

「ダイアナはどんな子?」
「まさか髪の毛は赤くないんでしょう?」
「ああ そうじゃないといいわ 赤毛はあたしでもうたくさん」

「心の友が赤い髪をしているなんて絶対我慢できないわ」
「ふっ・・ ダイアナはとてもきれいな子だよ 目も髪も黒くて頬はバラ色でね その上利口で気立てがいいときてる」
「その方がきれいであるよりずっと大事なことだよ」

「わぁー その子がきれいでうれしいわ」
「自分が美人なのが一番素敵だけど 私の場合はそれは無理でしょ」
「だから美人の心の友を持つのが一番だわ」

「トマスのおばさんの所にいた時 おばさんの部屋にガラス戸のついた本箱があったの」
「本は一冊も入ってなかったし かたっぽうのガラス戸は割れてたわ」
「トマスのおじさんが酔っ払った時にこなごなに割っちゃったのよ」

「でももう一枚は何ともなかったの」
「それであたし ガラスに映る自分の姿を 中に住む別の女の子だと想像することにしてたの」
「あたしその子にケティ・モーリスという名をつけて あたしたちとても仲良くしてたのよ」

「特に日曜日なんか何時間も続けてケティに話しかけたわ」
「あたし何もかも打ち明けたの」
「ケティがいるのでほんとに助かったわ」

「あたしたち本箱が魔法にかけられていることにしてたの」
(肩をすくめるマリラ)
「呪文さえわかれば あたしが扉を開けて ケティ・モーリスが住んでいる部屋にすうっと入れるはずだったのよ」

「そうするとケティ・モーリスがあたしの手を取って
 年中日が照って花が咲いている不思議な妖精の国へ連れてってくれるの」
「そしてあたしたち そこで幸せに暮らすんだわ」

(想像するアン)
「ハモンドのおばさんと一緒に住むことになった時 ケティ・モーリスを残していくのがとても悲しかったわ」
「あの子もあたしと同じ気持ちだったのよ」

「本箱の戸の向こうから あたしにお別れのキスをしてくれた時 あの子泣いてたもの」
(・・・)
「ふっ そんな空想なんかしない方がマシだよ」

「そういう振る舞いは感心しないね」
「あんたは自分の空想を 半分ほんとにしてしまってるじゃないか」
「生きた本物の友達を作って そんなバカげたことは忘れる方があんたのためだよ」

「さ おしゃべりはそのくらいにして 客間の暖炉の上にある絵入りカードを持ってきなさい
「“主の祈り”を覚えるんだよ」
「あたしも昨日のお祈りはまずかったと思うわ」

「でも初めてだったんだもの うまくやれるはずはないでしょう」
「あたし 寝床に入ってから素晴らしいお祈りを考えついたの」
「とても詩的だったわ」

「でも今朝目を覚ましたらひとつも覚えてないのよ」
「あんな立派なお祈り もう二度と考えつかないと思うわ」
「言っとくけどね アン! 用事を言いつけた時はすぐに言った通りにしてほしいんだよ!」

「突っ立って何だかんだと言ってないでね」
「さあ 行っておいで」
(無言でドアを開け 居間から出て行くアン)

(マリラは編み物を始め アンは客間に行って絵入りカードを持ち それを読みながら居間に戻ってくる)
「天にまします我らの父よ 願わくは御名をあがめさせたまえ 御国を来たらせたまえ
 御心の天になるごとく地にもなさせたまえ」

「あたしこれ好きだわ とても美しい文句ね」
「天にまします我らの父よ 御名をあがめさせたまえ」
「まるで音楽みたいね」

「あんたは話し相手がいるとおしゃべりがやめられないようだね」
「カードを持って自分の部屋で覚えなさい」
「あら もうほとんど全部覚えたわ あとはおしまいの一行だけよ」

「いいから言われた通りになさい!」
「自分の部屋に行ってしまいまでちゃんと覚えてしまうんだよ」
(・・・・・)

「リンゴの花を一緒に持ってってもいい?」
「ダメだよ 部屋に花を散らすといけないから」
「それに第一枝を折っちゃいけなかったんだよ」

「あたしもちょっとそんな気がしたのよ」
「花を摘んでせっかくの美しい命を縮めたらいけないような気がしたの」
「もしあたしがリンゴの花だったら摘まれるのがイヤですもの」

「でも誘惑に勝てなかったの」
「とても勝てない誘惑に出会ったら おばさん どうするの?」
「アン! 部屋に行きなさいと言うのが聞こえたの?」

「うん」
(無言で居間を出て行くアン)
(大きくため息をつくマリラ)

(カードを読みながら階段を昇り 部屋に行くアン)
「国と力と栄えとは限りなく汝のものなればなり・・・・・・・・・」
(・・・・・)

「あたしの名はコーデリア・・ コーデリア・フィッツジェラルド姫」
「白いレースのスソの長いガウンを着て 胸には真珠の十字架をかけ 真珠の髪飾りをつけている」
「あたしの髪の毛は真夜中のように真っ黒で 肌は透き通った象牙のように青白い」

(首を振って空想から我に返るアン)
「いいえダメだわ 本気になれないわ」
(鏡の前まで小走りに行って覗き込むアン)

「あんたはただのグリーン・ゲイブルズのアンじゃないの」
「何度あたしがコーデリア姫なんだと空想しても そのたんびにあんたの顔が見えるのよ」
「でも どこの誰だか分からないアンよりも
 グリーン・ゲイブルズのアンの方がずっとずーっといいわね」

「あたしはグリーン・ゲイブルズのアンよ」
「グリーン・ゲイブルズのアンよ!」
「ダイアナ! 心の友になってねー!」

(予告)
アンはレイチェル夫人に にんじんのような赤い髪だと言われて怒り狂います。
次回『赤毛のアン』第7章
レイチェル夫人恐れをなす」をお楽しみに!