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赤毛のアン

Anne of Green Gables

『赤毛のアン』アン・シャーリー illustrated by 夏ミトン
illustrated by 夏ミトン
赤毛のアン(3) [DVD]
巻数
第03巻
DVD品番
BCBA-0092→3609
発売日
1999年03月25日
収録時間
103分
ディスク
片面1層
ファイル
ドルビーデジタル
音声種別
モノラル
字幕
日本語(ON/OFF)
税別定価
¥3,800→¥1,800
メーカー
バンダイビジュアル
HP
詳細ページ ※外部
スタッフ/データ
脚本
神山征二郎
絵コンテ
奥田誠治
演出助手
楠葉宏三
背景
野崎俊郎
菅原聖二
横山幸博
阿部泰三郎
作画
篠原征子
桜井美知代
新川信正
岡豊
大島秀範
村田耕一
才田俊次
友永和秀
後藤紀子
本放送日
1979/03/18
視聴率
20.7%
登場人物/キャスト等
あらすじ
第11章

マリラ・ブローチをなくす

ダイアナと共に過ごした幸せな夏も ようやく終わりに近づいたある日のこと・・
「ランラ ランラ ランラ ラン・・・・・・・・」
(アンがリンゴ園を散策しながら歩いてくる)

(落ちている小さなリンゴを拾うアン)
「ランラ ラン ランラ ラン・・・・・」
「ふぅ やれやれやっと帰ってきた」

(ボニーのいる窓の傍で裁縫をしていたマリラは 歌声を聞いて外を見るとアンが近づいてくるのが見え始めた)
「ランラ ランラ・・・・」
(アンはまた何か落ちているのに気付いたようでしゃがみ込んでいる)

(壁の時計を見るマリラ)
「(ランラランラ・・・)」
「約束よりももう30分も遅れてるよ」

「マシュウ~!」
(ボニーのいる窓ではなくマリラから見て正面にあたる窓の外をアンが走っていく)
「アーン!」

(アンは気づかずに行ってしまう)
(ポォーン・・と壁の時計が2時30分を報せる)
「ふぅ」

(マシュウは薪割りをしている)
「ただいま~マシュウ~!」
(駆け寄るアン)

「(ん?)」
「あのねマシュウ お願いがあるの」
「ん~?」

「アイドルワイルドにね ベルさんの樺の木立のことよ」
「うん」
(茶色のネコがアンのひざにのる)

「アイドルワイルドに客間も作ったの」
「ほぉ~」
「暖炉も戸棚もイスもみんなあるんだけど・・」

「でも1つだけ足りないものがあるのよ」
「そうさのうテーブルじゃないのかなアン」
(驚きの表情のアン)

「あら! よくわかるわねマシュウ!」
「そうさのう何かそんなものじゃないかという気がしたんだが・・」
「いいとも 有り合わせの木でわしが作ってやるよ」

「まぁー!!」
「(ニャ?)」
(アンが立ちあがったのでネコが落ちてしまう)

「ありがとうマシュウ~!」
(マシュウの腕に抱きつくアン)
「あは」

「ニャーアーァ」(抗議の声をあげるネコ)
「あら ごめんね ふふふ」
「ふっふっふっふ・・」

(マリラは立ちあがり アンの様子を見に外に出る)
「30分も遅れて帰ったうえにいつまでおしゃべりしてる気なんだろう」
「マシュウもマシュウだよ まるでバカみたいにあの子の話に聞きほれてるんだから」

「アン!」
「アン!」
「はーい!」

(マリラのほうへと走ってくるアン)
(マリラは元いたように揺りイスに座る)
「ただいまー!」

「ああ~マリラ」
(ポンプで水を汲み上げながら)
「来週ね 日曜学校のピクニックがあるんだって!」

(出た水で手を洗い 棚からコップを取り出すアン)
「“きらめきの湖”のすぐそばのアンドリューズさんの原っぱへ行くの」
「そしてね ベルさんの奥さんとリンドのおばさんがアイスクリームを作って下さるんだって!」

(もう一度水を汲み出しコップに注ぐアン)
「考えてもみてちょうだいマリラ アイスクリームよ!」
(コップの水をゴクゴクと飲むアン)

「はぁ~」
「ねぇマリラ 行ってもいいでしょう?」
「・・ちょっと時計を見てごらん」

「え?」
(アンが時計を見ると2時48分を示していた)
「あんたに何時に家に入るように言った?」

「2時よ」
「でもピクニックって素敵じゃない?マリラ」
「お願い 行ってもいい?」

「あたし ピクニックに行ったことないのよ」
「ピクニックの夢は見たことあるけれど 本当のピクニックは今までに・・」
「あたしはあんたに2時に戻るように言ったんだよ だのにもう3時15分前じゃないか」

「なんであたしの言いつけを守らなかったのか知りたいねぇ」
「あら守るつもりだったのよ」
「でも どんなにアイドルワイルドが魅力的な所かマリラがわかってくれたら・・」

「わからなくて結構」
「それにもちろん マシュウにピクニックのこと話さなくちゃならなかったし 頼むこともあったの」
「マシュウはとても熱心に聞いてくれたわ」

「ね 行っていいでしょう?」
「あんたはそのアイドルなんとやらの魅力を我慢することを覚えなくちゃダメだよ」
「あたしが時間を決めて あんたに戻ってきなさいと言う時は時間通りという意味で 30分あとっていうことじゃないんだよ」

「それから家に帰る途中で 熱心に話を聞いてくれる人とおしゃべりする必要もないよ」
(目を見ながら聞いていたアンだが 目線を下げた)
「ピクニックのことならもちろん行ってもいいよ」
(はっ)(目線をマリラの目に戻すアン)

「あんたは日曜学校の生徒なんだし ほかの子がみんな行くのにあたしがあんたを行かせないようなことはしないよ」
「ありがとうマリラ!」
(満面の笑みを浮かべるが すぐに表情を曇らすアン)

「でも・・ でも・・ ダイアナが言ってたんだけど みんなバスケットに一杯食べ物を持って行かなくちゃいけないんだって」
「・・ほら あたしお料理できないでしょう それに それにあたしふくらんだ袖でない服でピクニックに行くのは構わないけど
 でもバスケットなしで行くのはとってもきまりが悪いわ」

「ダイアナに話を聞いてからずっと心を悩ましてたの」
「やれやれ ならもう心なんぞ悩ます必要はないよ 料理はあたしが作ってあげるから」
「ああマリラ! ああ~なんて親切なんでしょう!」

「ああ なんて優しいんでしょう!」
「ああ~ありがとうマリラ」
「わぁ~! は は」(マリラに飛びつくアン)

「ちょ ちょ ちょ ちょっとアンったらこれちょちょ・・ これアン! 針があるんだよ~危ないじゃないか」
「さあさあ キッスなんかどうだっていいよ それより言われたことをきちんとやってもらいたいね」
「うん」

(やっと落ち着いて揺りイスに座るマリラ)
「お料理は近いうちに教えてあげるつもりだったけれど 何しろあんたはそそっかしいから
 少し落ち着いて慌てないようになってから始めた方がいいと思ってたんだよ」

「お料理は途中で手を休めて空想にふけったりしていては みんなできそこないになってしまうからねぇ」
「うん」
「さあ パッチワークを出してきてお茶までに自分の分をやってしまいなさい」

「あたしパッチワークは嫌いだわ だって想像の余地が全然・・」
「アン!」
(ビクッとなり おどけながら退散するアン)

「はぁ~」(呆れて肩を落とすマリラ)
(マシュウはまだ薪割りを続けている)
(マリラの横に並んで座り パッチワークを始めるアン)

「ダイアナは半袖の服を作ってもらってるのよ ピクニックに着ていくんだって」
「ああ~次の水曜日が晴れだといいんだけれど」
「もし何かが持ち上がってピクニックに行けなくなったら あたしガッカリしてまいっちゃうと思うわ」

「そりゃぁ いずれは立ち直るでしょうけど 悲しみは一生続くと思うわ」
「あとで100回ピクニックに行ったとしても何にもならないでしょうね」
「今度のピクニックに行きそこなったら100のピクニックだって埋め合わせできないもの」

「みんな“きらめきの湖”でボートに乗るのよ」
「それからがアイスクリームなの アイスクリーム・・」
「あたしアイスクリームを食べたことがないの ダイアナがアイスクリームがどんなものか説明しようとしたんだけど
 アイスクリームは想像できるようなものじゃないと思うわ」

「アン! 時計で計ったらあんた10分間もしゃべり続けだよ」
「ねぇ ものは試しだから 同じ時間だけ黙っていられるかどうかやってごらん」
「(ほぇ?)」
(・・言われた通り黙ってパッチワークをするアン)

(外は強めに雨が降っており、アンは戸口によりかかって外を眺める)
(マリラはお茶の用意をしている)
「アン! ピクニックはまだ4日も先なんだよ ぼんやりしてないで手伝っておくれ」

「アン・シャーリー!! 聞こえてるの!?」
「えっ?」(ぼんやりしたままのアン)
「はぁ・・」(呆れるマリラ)

(カーン・・ カーン・・ 鐘が鳴り舞台は日曜日の教会へと移る)
(牧師の話はすでに終わりに近づき・・)
「さて~ 今日はとても楽しいお知らせがあります」

「もうみんな噂を聞いて知ってることと思いますが 今週の水曜日に日曜学校のピクニックを行います」
「わぁー!」
「やったー!」 (子供たちが歓声を上げる)
「うわぁ!」
「静かに 静粛に」
「夏休みも残り少なくなりましたが この夏の良い思い出に みんな元気一杯で参加して下さい」
「はーい!」(子供たちは示し合わせたかのように一斉に元気な返事をする)
「はーい!」
「はーい!」
(わーい わーい ガヤガヤ・・)
(牧師の話が終わり 子供たちは喜び騒ぎはじめる)
(そんな中 アンは手を組んでじっと前を見つめたまま一言もしゃべらなかった)

(並んで帰るマリラとアン)
「さっき牧師さんがピクニックのこと発表した時 あたし背中がぞくぞくっとしたのマリラ」
「ピクニックがあるのは先週からわかっていたじゃないか」

(頷くアン)
「そのはずなんだけど その時まであたし本当にピクニックがあるって信じていたとはどうしても思えないの」
「ただ想像してただけみたいなの」

「でも牧師さんがああおっしゃったんだもの 今度こそ信じられるわ」
「あんまりあんたは物事を思い詰めすぎるよ アン」
「一生の間に どのくらいがっかりするかしれないよ」

「あら 何かを楽しみにして待つところに その喜びの半分があるんだわ」
「楽しみが本当にならなくても その楽しみを待ってる間の楽しみは 間違いなく自分のものだもの」
(何か思うマリラだがなにも言わなかった)

「あら!?」
(マリラの顔のほうを見ていたアンが何かに気づく)
「今そのブローチ キラッて光ったわ」

「ほんとにきれいなブローチね~」
「そんなブローチをつけてる時に よくお説教やお祈りに注意が向けられるわね」
「あたしだったらできないわ」

「紫水晶ってほんとにきれいね」
「紫水晶は昔 あたしが心の中で描いていたダイヤモンドに似ているわ」
「ずっと前ダイヤモンドを見たことのない時 ダイヤモンドってどんなものなのかなって想像したことがあるの」

「ダイヤモンドは美しい紫の石だと思ってたのよ」
「それから どこかの奥さんが本物のダイヤモンドの指輪をはめているのを見た時 あたしがっかりして泣いてしまったの」
「もちろんとても美しかったわ でもあたしが考えていたダイヤモンドとは違うのよ」
(・・・・・)


(翌日 グリーン・ゲイブルズのドアが開き マリラが一人で出てくる)
「後援会に行ってくるからね 机の上の箱を2階の物置へしまっといておくれ!」
「はーい!」(アンの返事は奥の方から聞こえてきた)

(さっそく箱を持って2階へと上がるアン)
(箱を物置へしまって戻る際 マリラの部屋のドアが開いていたため何かを見てしまうアン)
「あっ」

(鏡台に置いてあった針山がキラッと光った)
(アンがよく見ると針山にブローチが刺してあるのだった)
「うわぁ~!」

(アンは目を見開き ノブに手をかけてドアをさらに押し開く)
(アンは部屋に入り ブローチのすぐ近くまで来てまじまじと見つめる)
「うわぁ~ 素敵だわ~」

「紫水晶って スミレの魂なのねきっと」
(・・・アンはニコッとするとブローチに手を伸ばし 手にとってみる)
(アンはさらに自分の襟元にブローチをつけてポーズをとり 鏡をのぞいてみる)

マリラ・ブローチをなくす illustrated by YUME
illustrated by YUME

(場面は変わりマシュウが家畜小屋から出てくるが ちょうどその時マシュウはアンが外に飛び出して走っていくのを見かける)
(またすぐに場面は変わり 夕方のグリーン・ゲイブルズ)
(マリラは自分の部屋から出てくるが 怪訝な表情で振り返ったりしながらもドアを閉め 居間に下りてくる)

(アンは鼻歌を歌いながら豆を鞘から取り出している)
「アン あたしのブローチを見かけなかったかね? 紫水晶の」
(・・・アンは無表情のまま豆を取り続けている)

「昨日教会から帰った時針山に刺したと思ったんだけど どこにも見当たらないんだよ」
「あたし 今日マリラが後援会へ行ってお留守の時に見たわ」
(目を見開くマリラ)

「お部屋の前を通ったら 針山にブローチが刺してあったのであたし・・見ようと思って中へ入ってったの」
「触ったのかね?」
「ええ」

「あたしブローチを取り上げて胸にとめたの」
「どんな具合か見たかっただけよ」
「あんたがそんなことをする権利はないよ」

「小さい子が人のものをいじくるなんてとっても悪いことだよ!」
「第一あたしの部屋に入っちゃいけなかったんだよ」
「それから人の持ち物のブローチに触っちゃダメだよ!」

「でブローチをどこ置いたの?」
「あらタンスの上に戻しといたわ」
「1分間も胸につけてなかったわ」

「ほんとにいじくるつもりはなかったのよ」
「部屋に入ってブローチをつけてみるのがそれほど悪いことだとは思わなかったの」
「でもそれが良くないことだって今わかったわ」

「もう二度としないわ それがあたしの取り柄なの」
「二度と同じ悪いことはしないのよ」
「あんたはブローチを戻さなかったんだよ タンスのどこにもないもの」

「あんたが持ち出すか何かしたんだろアン?」
「あたし確かに戻しといたわ」
「針山に刺したのか 瀬戸物のお盆の上に置いたのか思い出せないの でも戻したのは確かよ」

「ん・・ もう一度見てこよう!」
「もしあんたがブローチを戻したんならまだそこにあるはずだよ」
「ないならあんたが戻さなかったことになるんだよ!」

(部屋を出ていくマリラ アンは豆を取るのを続ける)
(マリラは鏡台の引き出しや天板の上 側面の床 さらにはベッドの下も探してみる)
(念のため他の場所も探してみるがやはり無く 居間に戻ってくる)

(アンはまだ豆を取り出している)
「ブローチは見えないよ アン」
「あんたが自分で認めたように ブローチを一番最後に触ったのはあんたなんだよ」

「一体ブローチをどうしたんだね?」
「すぐに本当のことをお言い」
「外に持ち出してなくしたのかい?」

「いいえ持ち出さなかったわ」
「あたしはマリラの部屋から絶対にブローチを持ち出さなかったわ」
「それは本当よ!」

「たとえそのために断頭台に連れていかれてもね」
「もっとも断頭台がどんなものかあたしよく知らないけれど・・」
「さあ! どうなりと!」

「あんたはきっとあたしにウソをついてるんだよアン!」
(興奮して言うマリラに対して アンは落ち着いてマリラをじっと見つめる)
「あたしにはよく分かってるんだから」

「さあ洗いざらい本当のことを言う気がないんなら もうこれ以上何にも言ってもらいますまい」
「自分の部屋へ行きなさい」
「進んで白状する気になるまで出てくるんじゃないよ!」

(アンは立ち上がり 感情を押し殺すように小さく それでも不満を隠しきれない感じで言う)
「このエンドウ 持っていきましょうか?」
「いや さやをむくのはあたしがするよ」

(アンは一旦何かを考えたような素振りをしがが 無言で部屋を出て行く)
(アンは自分の部屋に戻り ベッドに座ってため息をつく)

(マリラは豆を鞘から取り出しながら)「情けないことになったもんだ」
「もちろん本気でブローチをとった訳じゃないだろうが
 おもちゃにしたり 例の想像の足しにでもしようと思って持ち出したに違いないよ」

「きっとなくしてしまって 罰せられるのが怖くて言えないんだ」
「あの子がウソをつくなんて思っても恐ろしいことだ」
「カンシャク起こすよりどれほど悪いかしれやしない」

「信用できない子を自分の家に置いておくとなると これは大変な責任だよ」
「ずるくてウソつき・・
 その方がブローチをなくしたことよりずうっとつらいよ」

「ふぅ~ 正直に話してくれさえすれば あたしもこんなに気にならないんだけど・・」
「ふっ」「ふっ」
(マリラは思いを振り払うように豆を取り続ける・・)

マリラは念のためにもう一度ブローチを探してみたが やはり見つからなかった
(アンの部屋には丸いお盆に乗せられた食事が運ばれていて イスの上に置かれていた)
(しかしアンはベッドに座ったままで 全く手を付けずにいた)

(マシュウとマリラも食事に手をつけず話していた)
「あの子がそんなことをするなんてとてもわしには信じられんよ」
「タンスの後ろに落ちてるんじゃないのかね?」

(首を振って否定するマリラ)
「タンスも動かしたし 引き出しも外しました」
「すき間というすき間もみんな見たんです」

「あの子がとってウソをついているのはもう 疑いのない情けない事実なんですからね」
「いたずらに目をそらしたりしない方がいいですよ」
「そうさのう で お前 どうするつもりだね?」

「白状するまであの子を部屋におくんです」
「この間はそれでうまくいきましたからね」
「うむ・・ そうかな・・」

「そうですとも!」
「あの子が何処へブローチを持って行ったかを言いさえすればブローチは見つかるでしょうが
 どちらにしても 厳しく罰しなくてはなりませんよ マシュウ」

「そうさのう・・お前としては罰さなくちゃなるまいが わしはこの事とは何のかかわりもないよ」
「口出しするなと言ったのはお前だからな」
(口をぽかんと開いたまま反論できないマリラ)
「んん・・」

マリラはみんなに見捨てられたような気がした
そして一夜が明け 8月のグリーン・ゲイブルズの朝は今日も美しかった
(窓に両肘をつき 両手の上にあごをのせて外を眺めるアン)

(ガチャと部屋のドアが開かれ アンが振り向くとマリラが朝食をもって入ってくる)
「あらマリラ おはよう 素敵なお天気ね」
「明日のピクニックも今日みたいに晴れてほしいわ~」

「ブローチ まだ見つからないの?」
「よくもそんなことが言えるもんだね アン」
「自分で持ち出しておいて!」

「あたし とらないわ!」
(マリラは無言で部屋を出て行き ガチャンとドアを閉める)
「んんんんん・・」

(不満と怒りで体を震わせるアン)
(居間に戻ってきたマリラは座ってこめかみに手をあてる)
(マシュウは白樺の枝と木材で小さなテーブルを作っているが アンのことが気になりアンの部屋のほうを見る)

食事のたびにマリラは深刻な顔をしてアンの部屋を訪れたが 出てくる時にもっと深刻な顔をしていた
アンは白状することを頑として拒んだからである
マリラはレイチェル・リンド夫人の所に行って意見を聞きたかったが 問題が問題だけにそうする勇気がなかった

そして 夜になる頃には マリラはもうヘトヘトになっていた
マリラは それまでずっと泣いていたらしいアンの顔を見ると かわいそうで胸がうずくのを覚えたが
心を鬼にしてそれをぐっとこらえた

「いつまでそうしているんだね アン」
「うう・・う・・」
(ベッドに突っ伏して泣いていたアンは身を起こす)

「正直なのがあんたの取り柄だと思っていたんだよ」
「でも・・ でもやってないことをどうして あたしがやりましたなんて言えるの?」
(アンは首を振り)「あたしは知らないわ! とったりしてないわ!」

「ああ~マリラ! ピクニックは明日なのよ!」
「まさかあたしをピクニックに出してくれないって言うんじゃないんでしょうね?」
「・・・」

「午後だけは出して下さらない?」
「そうしたらそのあとはマリラの気の済むまで元気よくここにじっとしているから!」
「でもあたしピクニックだけはどうしても行かなくちゃならないわ!」

「すっかり本当のことを言うまではピクニックにもどこにも行かせないよ アン!」
「あ゜ぁっ」
「マリラぁっ!」

(無言でドアは閉められ アンは茫然と立ち尽くす)
「わ゛ああぁっ」(ベッドに突っ伏して号泣するアン)
(挿入歌:あしたはどんな日)
「わあぁぁぁ~」「わあぁぁぁ・・ ・・・」

(予告)
あんなに待ちこがれていたピクニックの朝 思いつめたアンはとうとう決心をします
次回『赤毛のアン』第12章
アン・告白する」お楽しみに