世界名作劇場!テンダータウン


HOME > 名作アニメの杜 > 赤毛のアン > 各話一覧 > 第9章

赤毛のアン

Anne of Green Gables

『赤毛のアン』アン・シャーリー illustrated by 夏ミトン
illustrated by 夏ミトン
赤毛のアン(2) [DVD]
巻数
第02巻
DVD品番
BCBA-0091→3608
発売日
1999年03月25日
収録時間
128分
ディスク
片面2層
ファイル
ドルビーデジタル
音声種別
モノラル
字幕
日本語(ON/OFF)
税別定価
¥3,800→¥1,800
メーカー
バンダイビジュアル
HP
詳細ページ ※外部
スタッフ/データ
演出
高畑勲
演出助手
楠葉宏三
脚本
神山征二郎
絵コンテ
とみの喜幸(現:富野由悠季)
場面設定
宮崎駿
画面構成
宮崎駿
背景
菅原聖二
横山幸博
美術助手
阿部泰三郎
仕上検査
保田道世
制作進行
小泉正二
作画
篠原征子
桜井美知代
新川信正
岡豊
大島秀範
オープロダクション
村田耕一
才田俊次
友永和秀
後藤紀子
本放送日
1979/03/04
視聴率
18.0%
登場人物/キャスト等
あらすじ
第9章

おごそかな誓い

[01:25]Aパート
夜、アンはローソクを灯した窓辺にひざまずき、手を合わしつつお祈りします。
「ダイアナが心の友になってくれますように」
「あたしはきっとダイアナを好きになると思います」
「ダイアナも、きっとあたしを好きになってくれるわ」

「だって、ダイアナの家の明かりが、今夜はあんなに近くに見えるんだもの」
しばしアンはダイアナの家のほうを眺めます。
そしてダイアナの家の明かりが消えると、アンはローソクの火を吹き消して床につきます。

翌朝、グリーン・ゲイブルズは雨が降っていて薄暗く、アンは窓辺にほおづえをついて外を眺めていました。
その後アンは、居間のマリラの側でパッチワークをします。
「はぁ~~」

「やむかしら雨?」
「心配しなくてもいいよ、アン」
「この雨ならお昼にはやむな」

「ほんと!マシュウ?」
「マシュウの天気予報はあてにしていいよ」
「わぁ~、よかった!!」

「じゃ、今日ダイアナに会いに行けるわね?」
「ああ、でも午後のお茶が済んでからだよ」
「ご迷惑をかけちゃいけないからね」
「うん」

やがて雨はだんだんと小降りになっていきます。
アンが家の中からマシュウとともに外を眺めていると、ついに雨が止みます。
「わぁ~~」

「あは!」
本当に天気予報が当たって、アンはマシュウに抱きつきます。
その後アンは部屋で、着ていく服や帽子で散々悩んでいましたが、マリラに出発の声をかけられてどうにか決定に至りました。

マリラは待ちくたびれたような様子です。
居間に入ってきたアンを見て…
「普段着のままでよかったんだよ、型紙を借りに行くついでなんだから」

「だって…」
「さ、ぐずぐずしていると日が暮れてしまうよ」
アンは家を出て扉を閉め、そこで立ち尽くします。

「どうしたんだい?」
「ああマリラ、あたし怖いの」
「いざとなると本当に怖い気がしてくるわ」

「もしダイアナがあたしを好きにならなかったらどうしよう…」
「そうなったら、あたしの一生で最大の悲劇的な失望だわ」
「ふん、そんなに慌てることはないよ」

「第一そんな長ったらしい言葉は使ってほしくないね」
「小さい子が使うととっても奇妙だよ」
「大丈夫、ダイアナはたぶんあんたを気に入るだろうがね」

「問題はダイアナのお母さんだよ」
「もしあんたがお母さんに嫌われたら、いくらダイアナに気に入られても何にもならないよ」
アンは手を合わせてブルブルと震えだします。

「もしリンドさんにくってかかったことや、あの帽子のことを知ったら、あんたのことを何と思うかね」
「行儀よくして、例の大げさな言葉遣いはしないことだね」
「はぁぁぁ…」

「おや、この子ふるえてるんだね」
「ああ~マリラ!」
「心の友になってほしいと思ってる女の子に会いに行くんだったら、マリラだってドキドキするわよ」

「それに、もしかしたら、その子のお母さんに気に入られないかもしれないんだもの」
「ん~~、ん~~」
マリラは呆れたように先に歩いて行ってしまいます。

アンもゆっくりと歩きだそうとしますが…
「はぁぁぁ」
アンは外の柱にもたれかかります。

そして、意を決し、勇気を奮い起こしてズンズンと歩きだします。
しかしマリラのあとについて歩くアンの表情は不安でいっぱいなのでした。
「バリーさんの家には、ここを通るのが一番の近道なんだよ」
「覚えておくわ」

しばらくするとバリーさんの家が見えてきます。
「わぁ~」
2人が辿り着くと、マリラは玄関のドアをノックします。

すぐにバリーの奥さんがドアを開けます。
「おや、いらっしゃいマリラ、どうぞお入りになって」
ちらっとアンのほうを見ます。

「あの子なのね、あなたがおもらいになった女の子というのは?」
アンはスカートの両端を持ち上げ、カーテシーであいさつします。
その様子を見たマリラはちょっと驚き、呆れたような表情を浮かべます。

「さ、そんな所に立ってないでこちらにいらっしゃい」
「アン・シャーリーというんです」
「あ…、あ、あの~…」
「アンは最後に“e”をつけてつづるんです」

「ご機嫌いかが?」
「おかげさまで体の方は元気です」
「心はかなり乱れておりますけれども、奥様」
「さ、お入りなさい」

入ろうとするマリラにアンは言います。
「あたし別に大げさなことは何も言わなかったでしょう?」
「シーッ、そういうことはもう少し小さい声で言うんだよ」

バリーさんの家に入ったとたんアンの表情が固まります。
入ってすぐ正面のところにあるソファーで本を読んでいたダイアナを見たからです。
思わず笑顔がこぼれそうになるアンですが、すぐに気を引き締めます。

ダイアナが立ち上がると、バリー夫人が紹介します。
「これがうちのダイアナよ」
アンの心の中では花びらが舞い始めます。

「(ダイアナ…)」
「(ダイアナ!)」
アンの心では、森の中アンとダイアナの2人だけで見つめあい、花吹雪が舞っていました。

「ダイアナ」
「はい」
バリー夫人が声をかけると花吹雪が掻き消えます。
「アンを庭に連れていって、あなたの花を見せておあげなさい」

「本ばかり読んで目を悪くするといけないからね」
「はい」
ダイアナは無言でアンについてきてと言うように目配せして、アンと一緒に部屋を出ていきます。

「あの子はあんまり本を読みすぎるんですよ」
「それに、止めるわけにもいきませんの」
「何しろ父親が先に立って読ませようとしているものでね」

「だからあの子はいつも本にかぶさってばかりいるんです」
「遊び相手ができそうで、あたしホッとしてますの」
「友達がいれば…もっと外に出て遊ぶようになるでしょうからね」
マリラは無言で頷きます。

ダイアナとアンは庭に出ました。
たくさんの花が咲いているなかダイアナが先導して歩きますが、2人ともずっと一言も話さないでいます。
マス目になっている花畑の小路を歩いていましたが、2人は足を止め、ダイアナはちらちらとアンのほうを見ます。

そしてついにアンは口を開きます。
「ああぁダイアナ」
「あの…、あのあなた…」
「あなた、あたしを少しは好きになれると思う?」

「あたしの心の友になってもいいと思うくらいに」
「うふふっ」
「ええ、なれると思うわ」

「わぁ~!」
「うふふっ」
「あたしあなたがグリーン・ゲイブルズに住むことになって本当に嬉しいの」

「遊び相手ができたら楽しいに決まってるんだもの」
「本当なのね?」
「ほかに一緒に遊ぶような女の子は近くに一人もいないの、妹はまだ小さすぎるし…」

[10:30]POINT
アンは少し考えますが、すぐに意を決し、少しダイアナのほうに詰め寄って…
「あなた永久にあたしの友達になるって宣誓してくれる?」
「センセイ?」

「誓うことよ」
「おごそかに誓いをたてて約束をするの」
ダイアナは小さく頷きます。

「それならしてもいいわ、どうやって誓うの?」
アンはダイアナの両手をとって…
「手をつながなくちゃいけないの、それも…」

アンはダイアナの手を引っぱって、花畑の小路が十字に交わるところまで連れていきます。
「本当は流れている水の上でつながなくちゃいけないんだけど、ここを水の流れだと想像すればいいわ」

「じゃあたしが先に誓うわ」
アンは目を閉じます。
「・・・」
「うふっ」
ダイアナも目を閉じます。

やがて想像上では、2人の間にある小路に水が流れはじめます。
「太陽と月のあらんかぎり、わが心の友ダイアナ・バリーに忠実なることを、われ、おごそかに誓います」
(挿入歌:忘れないで)

おごそかな誓い illustrated by 3chan.
illustrated by 3chan.

「今度はあなたの番よ」
「あたしの名前を間に入れてちょうだい」
またアンは目を閉じます。
「うふふふふっ」
そしてダイアナも目を閉じます。

再度想像上で小路に水が流れ出します。
「太陽と月のあらんかぎり、わが心の友アン・シャーリーに忠実なることを、われおごそかに誓います」
ダイアナは目を開けて笑います。
「うふふふっ」
アンも目を開け、笑みがこぼれます。
「わぁ~っ」

「あなたって変わってるわねアン」
「変わってるってことは前から聞いてたけど、でもあたし、本当にあなたが好きになりそうだわ」
「わぁ~っ」

「あははは・・・・・」
「うふふふ・・・・・」
アンとダイアナは手をつないで野を駈け一緒にブランコに乗り、夕焼けが始まっても笑いが絶えることはありませんでした。

[13:30]Bパート
「あははは・・・・・」
「うふふふ・・・・・」
アンとダイアナは家に戻ってきますが、2人の笑い声は続きます。

ダイアナの先導で2人は2階に上がります。
上がるとすぐに大きな窓があるので外がよく見えます。
「まぁ、きらめきの湖が!」

「え? きらめきの湖?」
「ええ、あたしね、この池にそう名前をつけたのよ」
「初めてマシュウの馬車に乗って橋を渡った時」

「きらめきの湖… 素敵な名前だわ」
「でしょう?」
「あなたが気に入ってくれて嬉しいわ」

ダイアナは階段のすぐ隣の部屋へ向かいます。
「いらっしゃいなアン!」
「ん?」

ダイアナに連れられて入った部屋はダイアナの部屋で、アンは目を丸くします。
「(うわぁ)」
アンは声にならないような声をあげます。
アンの目に映ったものの全てがアンを感動させました。

とくにアンの目を引いたのは、棚に並んだ本でした。
「これみんなあなたの本?」
ダイアナは頷きます。

「クリスマスやお誕生日のプレゼントはいつも本なの」
アンは1冊の本を手に取り開いてみます。
「それは恋人を5人も持ってる女の人のお話よ」

「恋人5人? あたしなら1人でいいわ」
「でも面白そうね」
「持って帰って読んでいいわよ」

「本当! 貸してくれるの?」
ダイアナは頷きます。
「あたしたち永遠の誓いをたてたばかりよ、うふふふっ」

「ダイアナ!」
ダイアナは違う本を1冊手に取りアンに見せます。
「『ふしぎの国のアリス』?」

「面白いわよ」
「それにちょっと変わってるのよ、見て」
本をアンに渡します。

「うわぁー!」
「ね、面白そうでしょ、それも持ってっていいわよ」
「座らない? それから帽子は…」

「あら、あたしったら…」
「うふふふ」
アンがダイアナに帽子をわたしてイスに座ると、ダイアナは自分が座っているベッドの上に帽子を置きます。

「あたしも本は好きよ」
「自分では持ってないけど借りて読んだの」
ダイアナは頷きます。

「本に書いてあることをいろいろ想像するのは本当に楽しいわ」
「でも、本や想像は友達の代わりにはならないんだわ」
「それが今わかったの」

「あたし、いつかは心の友が持てるかもしれないと思ったけど、グリーン・ゲイブルズに来てあなたのことを聞いてから、もう絶対あなたを心の友に決めていたの」
「だから… だからもしあなたがあたしを好きになってくれなかったらどうしようかって…」

「ああ~、でもそんな心配することはなかったのね」
「うふふ、そうよ、あたしだってカーモディーのおばさんの所であなたの噂を聞いて、会いたくてたまらなかったのよ」
「うふ」

「あなたって… あなたってすごいのねぇ、リンドのおばさんをやっつけたなんて…」
「あらそんなことまで知ってるの?」
「あぁどうしよう… おばさん知ってらっしゃるの?」

「うふふ、大丈夫よ、お母さんはそんなことに興味ないのよ」
「ああ~よかった」
「うふふふふ」

その頃マシュウは馬車でブレアの店にやってきていました。
アンのためにお菓子を買おうと思ったのです。
「おーやー、珍しいねカスバートさーん」

「何を差し上げますかな?」
「うぅ… そうさのう…」
「…いや、その… あの… ふぅ… また今度にするよ」

パチクリ、きょとんとする店の主人。
一旦店を後にしようとしたマシュウですが、再度お菓子の前に。
「うーむ…」

場面はダイアナの部屋に戻ります。
「アン! そろそろおいとましますよ! 下りといで!」
アンどダイアナは目を合わせます。

マリラは玄関でバリーの奥さんと話しつつアンを待ちます。
「じゃ、これお借りしていきます」
「どうぞお使い下さいな」

アンはダイアナと一緒に下りてきました。
「もう帰らなくちゃいけないの?」
「当たり前だよ」

「今日はごあいさつだけのつもりだったのに、ほんとに長いことお邪魔して…」
「まだいいのに」
「また遊んでやってちょうだい」

「いつでもいらっしゃい、アン」
「ありがとうおばさん」
「あたし途中まで送っていくわ!」

「おやおや、いいとも、行っておいで」
「うわーい!」「わーい!」
「あははは!」「うふふふ!」
2人は手をつないで走っていきます。

「アンは明るいいい子のようですねカスバートさん」
マリラは肩を上下させます。
「ありがとうバリーさん、じゃあ…」
マリラは家路につきます。

アンとダイアナは手をつないで歩きます。
「ふふふふふ」
「ふふふふふ」

小川にかかる橋でアンは振り返り、ダイアナと握手します。
「ありがとうダイアナ」
「じゃ明日の午後、ここでね」

「ええ、必ずね」
「じゃ、さよなら」
ダイアナは家のほうへと向かいます。

ダイアナは今度は、後から来たマリラと向かい合って…
「さようなら」
「さようなら」

「じゃあ」
アンは手をふって見送ります。
ダイアナも振り返って手をふりながら帰っていきます。

「(はぁ… あぁ~)」
感動しているアン。
そしてアンはマリラと並んで帰ります。
「どうだね、ダイアナとはウマが合ったかね?」

「もちろんよ!」
「ああ~マリラ、今この瞬間、あたしはプリンス・エドワード島で、一番幸せな娘よ!」
「今晩は心からお祈りができるわ」

「ダイアナとあたし、明日の午後ベルさんの白樺の森に、ままごとの家を作るつもりなのよ」
「ダイアナのお誕生日は2月で、あたしは3月なの」
「不思議な巡り合わせだわね~」

家に入ったアンは2冊の本を置きます。
「ダイアナは森の後ろのユリの咲いている所に連れてってくれるのよ」
アンは家畜の世話に出るマリラにくっついて話し続けます。

「ダイアナの目はとても情熱的だと思わない?」
「あたしも情熱的な目だったらいいのになぁ」
「ダイアナはあたしに『はしばみ谷のネリー』という歌を教えてくれるんだって」

「それからあたしの部屋に貼っとくようにって、とっても美しい絵をあげるって言ってたわ」
牛の乳搾りをするマリラ。
「水色の着物を着た美しい女の人の絵なんだって」

毛色が全部違う4匹の子ネコを連れた灰色虎縞のネコが横切っていきます。
「ミシン会社の人がダイアナにくれたの」
「あたしも何かダイアナにあげる物があるといいんだけど」

バケツを持ってニワトリの卵を拾うアンとマリラ。
「背はあたしの方が1インチ高いのよ」
「でもダイアナの方が太ってるわ」

「ダイアナは痩せたくてしょうがないんですって」
「その方がずっと格好よく見えるからって言ってたけど、ただあたしの気を悪くさせないために言ったんじゃないかと思うの」

豆のスジを取るアンとマリラ。
「あたしたち、いつか海岸へ貝殻を拾いに行くことにしたのよ」
「ダイアナの花壇の周りには、ずっと貝殻を巡らしてあるの」

「素敵だったわ~」
「アン!」
「(はっ)」

「その調子であんまりお喋りして、ダイアナをうんざりさせるんじゃないよ」
「それから何をするにしてもこれだけは覚えておいておくれ」
「あんたは一日中遊んでばかりいるわけにはいかないんだよ」

「あんたの仕事があるんだからまずそれをやってしまわなくちゃね」
アンは肩をすぼめ、しかし笑顔になって…
「ええもちろんそうするわ」

馬車の音が聞こえてくるとアンは…
「あっ」
外へ行こうとアンは勝手口に走ります。

「これアン!」
構わずアンはドアを開け…
「お帰りなさいマシュウ」

アンは外へ走っていきます。
「あのねマシュウ、あたしダイアナととても仲良しになれたの」
「そうさのう、わしもそうなると思っておったよ」

「あたしたち2人で、永遠に変わらぬ友情の誓いをたてたの」
「ほお…」
マシュウは馬車を降り、懐から小さな袋を取り出します。

[21:35]POINT
マリラも外に出てきたのでマシュウはマリラの目が気になったものの…
「カーモディーでぇ…ブレアの店に寄ったんでな…」
小さな袋をアンのほうに差し出します。
「お前が好きだと言ってたんで買ってきたよ」

アンは目を大きく見開いて笑顔になり…
「チョコレート・キャンディーね!」
「そうさのう、当たったよ」

マシュウは袋をアンに手渡します。
「ありがとうマシュウ」
「ふん、そんな物は歯やおなかによくありませんよ」

「どうせならハッカドロップを買ってきてくれたらよかったのに、その方が体にいいからね」
「(ん~)」
不満げな表情を浮かべるアン。
「さあさ、そんな顔するもんじゃないよアン!」

「マシュウがわざわざ買ってきてくれたんだから、食べてもいいんだよ」
「あ~っはっ」
「でもいっぺんに食べるんじゃないよ、気分が悪くなるからね」

「あら、いっぺんに食べたりしないわ、今晩は1つだけ、それから、これ半分ダイアナにあげていいでしょう?」
マシュウは頷きます。
「そうしたら、あとの半分は倍おいしくなるわ」

「ダイアナにあげる物ができたと思うと嬉しいの」
子袋をかかえて目を閉じ感激します。
「ほんとにありがとうマシュウ」

場面は変わり、マリラはお茶の後片付けをしながらマシュウと話します。
「あの子のいいところはね、ケチでないところですよ」
「あたしゃ嬉しくて」

「けちんぼうの子供ぐらい、イヤなものはありませんからね」
ソファーに座って聞いているマシュウはうんうん頷きます。
「驚くじゃありませんか、あの子が来てからまだ2、3週間しかたっていないのに、もうずうっと前からいるような気がしますよ」

「あの子のいない家なんかとっても考えられません」
「でも兄さん、だから言ったじゃないかなんて顔はしないで下さいよ」
「そんな顔は女からされてもイヤだけど、男からじゃ我慢できませんからね!」

「(あぁ、あ、あぁ…)」
マシュウは満足げにソファーに寝転がります。
マリラからは見えていないものの、これこそマリラがイヤだと言った顔なのでしょう。

アンは自分の部屋で、借りた本をひざにのせ、その上に袋からチョコレート・キャンディーを全部出します。
アンはそのうちの1つを選んで包みを広げてみます。
キャンディーをつまんでちょっと見たあと口に入れました。

「ん~」
恍惚の表情を浮かべるアン。
さらにアンは包みの香りを嗅いでみます。
「はぁぁ」

アンはキャンディーを袋に戻し、出窓のところに置いたローソクの明かりで借りた本を読み始めます。
アンは穏やかな笑顔で窓の外の景色を眺めます。
アンは今、生まれて一番幸せであった。

[24:15]予告
静かな森の中や、美しい花の咲く草原で、アンはダイアナと楽しい一日を過ごします。
次回『赤毛のアン』第10章 「アン・心の友と遊ぶ」お楽しみに。

[24:30]エンディング