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赤毛のアン

Anne of Green Gables

『赤毛のアン』アン・シャーリー illustrated by 夏ミトン
illustrated by 夏ミトン
赤毛のアン(2) [DVD]
巻数
第02巻
DVD品番
BCBA-0091→3608
発売日
1999年03月25日
収録時間
128分
ディスク
片面2層
ファイル
ドルビーデジタル
音声種別
モノラル
字幕
日本語(ON/OFF)
税別定価
¥3,800→¥1,800
メーカー
バンダイビジュアル
HP
詳細ページ ※外部
スタッフ/データ
演出
高畑勲
演出助手
馬場健一
脚本
神山征二郎
高畑勲
絵コンテ
楠葉宏三
腰繁男
場面設定
宮崎駿
画面構成
宮崎駿
背景
西原繁男
石橋健一
玉利和彦
加藤富恵
仕上検査
保田道世
制作進行
竹内孝二
作画
篠原征子
桜井美知代
新川信正
岡豊
大島秀範
オープロダクション
村田耕一
才田俊次
友永和秀
後藤紀子
本放送日
1979/03/11
視聴率
17.3%
登場人物/キャスト等
あらすじ
第10章

アン・心の友と遊ぶ

[01:25]Aパート
グリーン・ゲイブルズの朝、3人は静かな朝食をとっています。
「はぁ~」
「どうしたんだねアン、食欲がないのかい?」

「ああマリラ~、これからダイアナと遊ぶんだと思うと、もうそれだけでおなかが一杯になるの」
「その前に、あんたは後片づけをしなければならないんだからね」
「さ、早く食べておしまい」

「『はしばみ谷のネリー』という歌はどんな歌かしら?」
「ああ~ダイアナの歌う声はきっと素敵でしょうね」
「ねぇマシュウ」

「ん? うむ…そうさのう…」
「アン! 言いつけたことが守れないのなら、ダイアナとの約束は取り消してくるんだね」
「(はっ)」
アンは急にパンを食べ始めます。

マシュウは外へ出ていきます。
アンは食器を洗い、マリラはテーブルを拭きます。
「ベルさんの樺の木立ってどんな所かしら?」

「きっと素晴らしい所でしょうね~」
「だって、あたしたちそこに、2人だけの家を作るんだもの」
アンが空想の世界に入り込みそうになったところマリラが声をかけます。
「アン!」

「えっ?」
「約束の時間に遅れてもいいのかね? さっさと洗い物を済ませてしまいなさい」
「壊れた瀬戸物も探さなくちゃならないんだろう?」

「あっ」
アンは急にガチャガチャと勢いよく洗いはじめます。
「ふぅ」
マリラは洗う様子を心配げに見ています。

一方ダイアナは家の前で、壊れたり使わなくなったりした食器の選別をしていました。
ダイアナの妹ミニー・メイが後ろからやってきて、姉の様子を見て声をかけます。
「ん~?」 「お姉ちゃん何してるの?」

「何でもないの、ちょっとお片づけしてるだけ」
ミニー・メイはダイアナが選別した皿のひとつを手に取ります。
「わぁ、これでおままごとしよう! ねぇねぇ」

「ダメよ!」
「今日はグリーン・ゲイブルズのアンとお出かけするの」
「ミニー・メイとは遊べないのよ」

「イヤだ! あたしも一緒に行く!」
「だってあんたは後でお母さんと買い物に行くんでしょ」
「行かないもん、あたしもお姉ちゃんと遊びに行く」

「ダメよ! さ、返しなさい」
「イヤ! 返さないもん!」
「ん~…」
ダイアナは困ってしまいます。

場面はグリーン・ゲイブルズに戻ります。
アンが地下室で、やはり壊れたり使わなくなったりした食器の選別をしています。
壊れているものの良さげなティーカップや、花瓶代わりに大きな急須のようなものなどを持っていくものとして選びました。
そして、通りかかったマシュウに尋ねたうえで貰った布袋にそれらを入れて、いよいよ出発です。

アンは桜の木を見上げて声をかけます。
「雪の女王様! ダイアナに会いに行ってくるわ」
いつものようにボニーの傍にいたマリラは、アンの声にちょっとびっくりして外を見ます。

出発するアンを見てマリラは肩を上下させて呟きます。
「全く、あの子は変わってるよ」

アンは小川に架かる橋の上でダイアナを待ちます。
食器の入った袋を橋の上に置いて、アンは橋の上をうろうろします。
そしてアンは橋に腰掛けて小川を眺めながら、ダイアナの家のほうにつながる道をちらちらと見ます。

「どうしたのかしら」
「心の友が約束を忘れるなんて、考えられないわ」
膝の上に両手で頬杖をつきます。
そしてアンは食器の入った袋を拾って抱え、ダイアナの家に向かって歩き始めます。

[05:50]POINT
ダイアナはまだ家の前でミニー・メイと対峙していました。
「本当に今日はどこにも行かないの!」
「ウソだ!」
「さっき遊びに行くって言ってたもん!」

「本当よ」
ミニー・メイの後ろからはアンが近づいてきていました。
ダイアナはアンに気づいて、手で合図してアンにかけ寄ります。
「どうしたの?」

ミニー・メイもダイアナを追いかけてきます。
「今日は都合が悪くて遊べなくなったのよね!アン」
「え?」

ダイアナはウインクで目配せしながら、分からないように右手の親指でミニー・メイを指します。
アンはちらっとミニー・メイを見ると、食器の入った袋を体の後ろにかくして言います。
「あっ、そうよ、遊べなくなったの」

「じゃあまたね」
「今度一緒に遊びましょアン」
(アンにだけ小声で)(林の所で待っててね)」
「(うん)」

(わざと大きな声で)「ほんとに残念ね! 遊べないなんて!」
アンは後ろを向いて帰りかけ、振り返ってミニー・メイに声をかけます。
「さようなら、おちびちゃん」

アンは小走りで去ります。
「アンが遊べないんだって、今日はおうちにいようねミニー・メイ」
ダイアナはミニー・メイの手をとって家のほうへ導き、ミニー・メイは首だけ振り向いて後を見ます。

アンはダイアナに言われたように林の所で待ちます。
アンはポケットから子袋を出してキャンディーをいくつか手に広げ、その香りを嗅ぐとまた袋に戻してポケットに入れます。
「あっ」

ダイアナが走ってやって来ました。
「遅れてごめんねアン」
「はぁ、はぁ」

「妹はいつもああなのよ」
「でももう大丈夫、さぁ行きましょう」
「わぁ~あ、あ、ん…、お姉ちゃんのウソつきー!」

「やっぱり遊びに行くんじゃないか」
「ダイアナのいじわるー!あたしも連れてってー!ぇぇ」
「どうする?」

「…うーん、困ったわね」
「ぇ、ぇ、ぇ、うわ~~~あぁ、ぇぇ」
泣くミニー・メイ。

「仕方ないわ、ちびちゃんも一緒に連れて行こう」

「ごめんなさい、でも…」
「心配しないで、あたし小さい子のお守りは上手なのよ」
「うぇ、うぇ、うぁ~~~」

「何しろ孤児院に行く前は3組の双子の子守をしたことがあるんだから」
「まあ、3組の双子なんて本でも読んだことないわ」
「うわぁ~あぁぁ…うぁ~ぁぁぁ、うぇ、うぇ」

ダイアナとアンはミニー・メイのところまで戻ってきます。
「ごめんねミニー・メイ、もう泣かないでね」
「一緒に樺の木立で遊ぼう」

アンが手を差し伸べるとミニー・メイも伸ばして手をつなぎます。
「うん…」
「ほら、一緒に行こう」

「ふふ、ふふ…」
もう片方の手もダイアナとつないで、ミニー・メイはもう満面の笑みになっています。

直後、バリーの奥さんが玄関から出てきます。
「ミニー・メイ、出かけますよ」
「早くいらっしゃい」

「お母さんが呼んでるわ、行かないの?」
「行かない! あたしみんなと遊ぶ方がいい!」
ミニー・メイはお母さんに背中を向けます。

するとお母さんは…
「ブライトリバーには行かないのねミニー」
悩むミニー・メイ。
「じゃ、お母さん行っちゃいますよ」

「あ…」
ふり返るミニー・メイ。
「ブライトリバーへ行けば何かいい物が買ってもらえるわよ」
「ほんと?」

「ほんとよ」
「ほんと?」
アンにも尋ねるミニー・メイ。

アンは意表を突かれたという表情で自分の頭を指さし…
「えっ? ええ、たぶんね」
ミニー・メイはもう一度考えてからダイアナのほうを向いて…

「じゃ今度一緒に遊んでね」
「いいわよ」
ミニー・メイはお母さんのほうへ走っていきます。

「待って~」
「さあ行きましょう!」
「ええ」

アンとダイアナは並んで歩き、ベルさんの樺の木立へと向かいます。
蝶が2匹、2人の目の前を舞います。
「ん…、うわぁ」

アンとダイアナは丸太の一本橋を慎重に渡り、その先の道を歩いていると…
「ほ?」「あらっ?」
道の脇の草むらに光るものを見つけます。
「何かしら?」
「さあ…」

ダイアナがその光に近づいていこうとすると…
「待って」
アンは右手でダイアナを制して言います。
「あの下に小人たちの住みかがあるんじゃない?」
「小人の掘ったダイヤモンドが光ってるのよきっと」

「小人、見たくない?」
「ふふふっ、見たいわ」
光ったほうの草むらに近づいていく2人。

「はっ」
「あらっ、光らなくなったわ」
「あっ」

何かを見つけたダイアナは近づいてそれを拾ってみます。
「つりランプのかけらだわ」
「いいえ、これは妖精たちの鏡よ」

「小さな虹を集めて作ったのね~きっと」
「夢のように美しい光をもっているもの」
ダイアナは笑みを浮かべてアンを見つめます。

「ねぇダイアナ、想像してみて」
アンは目を閉じて言い、ダイアナも目を閉じます。
「ある晩、妖精たちがこの森で舞踏会を開いたの」

「それはそれは楽しく華やかなものだったのよ」
かけらにはアンが想像した妖精たちの姿が映し出されます。
「妖精たちは時を忘れて、一晩中踊り明かすんだけど…」

「コケコッコー!」
アンの声に驚いてダイアナは目を開け、アンも目を開けます。
「一番鳥が鳴いて、慌てて妖精たちは姿を消したわ」

「その時忘れていったのがこの鏡なの」
「うふふふふっ」
「ねえ、それ“妖精の鏡”って呼ぶことにしない?」

「そしてあたしたちの家の客間に飾るのよ」
「そうすれば毎晩妖精たちが鏡をのぞきにやってくるわ」
「うふふふっ、あなたって面白い人ね」
「うふっ」

そして2人はまた歩き始めます。
「ほら、樺の木立はもうそこよ」
2人は林を抜けて明るくなっている場所に出ます。

「わぁ~」
「あれがそうよ、うふふっ、気に行った?」
「素敵だわ、まるで緑の屋根をいただいた大きなあずま屋ね」

樺の木立に小走りで近づいていく2人。
「うわぁ~!」
2人は荷物を置きます。

「わぁ~ダイアナ、素晴らしいわ、立派なお屋敷になるわね」
「でしょう? ここは大理石の柱の大広間よ」
「あら! あたしも同じことを考えてたのよ」

「そして、あの天窓は水晶張りなの」
「だって光がこんなにキラキラ降ってくるんですもの」
「ダイアナ、こんないい家ありがとう」

「うふふっ、あたしも嬉しいわ」
「うふふふふ…」「うふふふふ…」
2人は別方向に走り出します。

アイドルワイルド illustrated by 3chan.
illustrated by 3chan.

2人は木立を円を描くようにトコトコと歩きます。
「ねぇ、ここのこと“アイドルワイルド”って名前にしたらどうかしら?」
「アイドルワイルド…、素敵な名前だわ!」

ダイアナはアンのほうへと駆け寄ります。
「とてもロマンチックだわ」
樺の木に隠れるように立つアン。

「あなたよくそんな名前思いつくわね!」
「うふふふ、今思いついたんじゃないの」
「あたしね、あなたからここの話を聞いてずっと考えてたのよ」

「今朝お皿を洗ってる時、突然“アイドルワイルド”ってひらめいたの、おかげでお皿1枚欠いちゃったけど」
「うふふふっ、さぁ部屋づくりにかかりましょうよ」
「うん」

[12:50]Bパート
アンとダイアナは持ってきたものや拾ったものなどを配置して想像上の家をつくります。
ダイアナは玄関と設定した木の間から顔をのぞかせて…
「コンコン」
ノックするダイアナ。

家の中にいる設定のアンは木のうろに挿してある“妖精の鏡”を見ながら髪をつくろっていましたが、ダイアナの訪問で玄関に向かいます。
「ガチャ、ギィー」
「おや奥様これはようこそ」

「さぁさぁお入りになって」
「ふふふっ、では遠慮なく」
「バタン」

アンとダイアナはベンチのように横たわっている大きな木片と切り株があるところまで歩いてきます。
「どうぞお座り下さいな」
「ふふふっ、かなり固そうなソファーね」

「ダメよ~柔らかなソファーだと想像しなくちゃ」
「ごめん」
「今お茶をいれますわ」

アンは台所に設定したところへ歩いていき、ダイアナはソファーに模した木片に座ります。
「皆様お変わりはございませんか?」
「ええおかげさまで、みんな元気です」

「本当に結構なお部屋ですことね」
アンは持ってきたチョコレート・キャンディーを袋から皿に盛り付けます。
「どうもありがとう」

[14:00]POINT
アンはキャンディーの皿とカップ2つが載ったトレーを持ってダイアナのほうへと歩いていきます。
アンはそのトレーを切り株に置くと、それを見たダイアナは驚きます。
「まあ! どうしたのこれ? あなた持ってきたの?」

アンは頷いて言います。
「大おじさまのマシュウがお土産に下さったチョコレート・キャンディーですの」
「ふふっ」
アンの口調が変わり、小走りでダイアナの隣に座ります。

「半分こよ!」
キャンディーに手を伸ばしかけたアンですが…
「違うわ、おちびちゃんにもあげなくちゃ」

「いいわよ」
「ダメよ~、あたしたちのせいで泣かせちゃったんだもの」
アンは皿の上で区分けしようと、まず4つを端に寄せ…

「これあなた、おちびちゃんは小さいから2つ…」
残り3つを自分のほうへ寄せるアン。
「あらぁそれじゃあ…」
アンは首をふります。

「あたし昨日もらってから1つ食べちゃったの」
「厳密に半分ずつでなくちゃ困るの」
「アン・シャーリー! あなたってとてもいい人ね」

「あたしね、昨日もらった時、あなたと半分ずつにすればおいしさが2倍になると思ったの」
「あたし、今までもらうばかりで、人に何かあげたことなんてないのよ」
「・・・」

「さ、食べて」
「ぁじゃない、どうぞお召し上がりになって」
「うふふ、ありがとうアン」

ダイアナとアンは1つずつキャンディーを取って包みを開きます。
「ふふ」「ふふ」
2人はキャンディーをつまみ上げて見せ合ってから口に入れます。

「あーおいしい! あたしこんなおいしいチョコレート・キャンディー初めて」
「2倍どころじゃないわ、3倍も4倍もよ!」
アンは一言も返しませんでしたが、その満面の笑みが肯定を表していました。

アンは空を眺めていましたが、急に色が変わりました。
「わぁ」
紫色のフィルムを目の前に持ってきて覗いていたのでした。

アンは紫色のフィルムで覗きながらダイアナを見ます。
「(わぁ)」
ダイアナはピンク色のフィルムで覗いていて、アンが自分を見ているのに気づいてダイアナもアンを見ます。

その後も色々なものを覗き見る2人。
「うふふっ面白いわね、世界がすっかりバラ色」
「ねぇダイアナ」

「え?」
「あたし昨日、あなたから借りた本読んじゃったのよ」
「最初から最後までドキドキしっぱなしだったわ」

「ウィローミアってかわいそうな人ね」
「5人も恋人がいるのに、ちっとも幸せになれないんだもの」
「あたし涙が出ちゃった」

「うふふふっ、あの人気絶ばかりしてるでしょ」
「気絶ってとってもロマンチックね~」
「ダイアナ気絶してみたいと思わない?」

「あたし、してみたくてたまらないんだけど無理なの」
「だって、やせてるわりにはとっても丈夫なんですもの」
「でも真似ならできるわ、見て」

アンは立ちあがって数歩前に進み、手を胸の前で組んで目を閉じ…
「ああ~ぁぁぁ、あ痛っ!」
アンは気絶する真似をして後ろに倒れます。

「あっ」
ダイアナ咄嗟に立ちあがり、駆け寄ります。
「あいたたたた…」
「大丈夫?アン」

「ええ~何とかね」
「気絶がこんなに痛いもんだとは思わなかったわ」
「うふふふ」

「あたしもやってみようかしら」
ダイアナはハンカチを取り出して口元にもっていき…
「あぁ~ぁぁぉぉぉ…」

ダイアナはゆっくりと膝を曲げつつ横にうつ伏せるように倒れます。
「うふふっ、ずる~い」
アンは立ちあがり…

「ア゛~!」
「う~~~~~~~~んう~~~~~ん、ふ~~~~ん」
アンはくるくると回ったあと膝をついてから横向きに倒れます。

ダイアナは倒れたままですが、目を開けてアンの様子を見ていました。
「(ふふふっ、ふふふふふふ…)」
笑いをこらえるダイアナ。
そして目を開けるアン。

「あはははははははははは…」
「あはははははははははは…」
2人は草はらに並んで大の字になります。

「あ~、笑ったらすっかりノドが渇いちゃった」
「あたしも! 泉に行かない?」
「あら、あの泉を知ってるの?」

アンは頷きます。
「あたし、近くの林はみんな探検したの」
「あの窪地の泉は、特に大発見だったわ」

「不思議ね~、砂の間から、あんなに澄み切った冷たい水が湧き出てくるなんて」
「そうよ、素敵な泉よ」
「行こう!」

手をつないで走って向かう2人。
道をウサギが横切ります。
「あっ、ウサギ!」

「あのウサギチョッキを着てたわね」
「え?」
ダイアナを見つめ、ほほ笑むアン。

「あっ、そうか! うふふふ」
「時計も持ってたわね」
想像上で本が現れ、挿絵のウサギが動き出します。

「“大変だ! 大変だ! これじゃ遅れちまう”」
「“ウサギ穴に飛び込んで”」
「“下へ、下へと、ズン、ズン、ズン、ズン…、ズーン!”」

2人は向かい合ってしゃがみ込みます。
「うふふふ」
「うふふふ」
2人はその場で立って…

「あなた『不思議の国のアリス』ももう読んじゃったの?」
「ううん、まだ初めの所だけなの」
「本当は全部読みたかったんだけど、ローソクが短くて…」

「うふふふ」
「あはははは…」「あはははは…」
2人はウサギに見送られながら泉のほうへと駆けていきます。

2人は泉に到着し、膝をついて両手を泉の水に入れてみます。
「わぁー、冷たい!」
「わぁー、冷たい!」
ハモッたので顔を見合わせます。
「うふふふふ…」
「うふふふふ…」
2人は泉の水を両手ですくって飲みます。
「おいしい~」
アンは泉の様子を眺めていると、泉から湧きでている水で葉っぱがゆらゆらと弄ばれていました。

すると葉っぱの陰から妖精が現れ、まるで葉っぱは妖精が泳いで動かしているようでした。
しかしアンが手を差し伸べると妖精は消えてしまいました。
アンはしばらく考え込むと…

「(はっ)」
「ね、この泉のこと“ドライアドの泉”って呼ぶことにしない?」
「ドライアドの泉…」

「“ドライアド”って確か樹の妖精みたいなものだったわねぇ」
「うん」
「素敵だわ~、あなたって名前をつける名人ね!」

「うふふふふ…、ふふふふ…、ふふふふ…」
「うふふふふ…、ふふふふ…、ふふふふ…」
2人は林を走っていきます。

2人はまた草はらに並んで仰向けになり、空を眺めたりしています。
「あら! 大きなミツバチが花の中から飛び出してきたわ」
「なんて素晴らしい住みかなんでしょう」

「花の家に住んでみたいわ」
「風にゆらゆら揺れながら、花の中で眠りにつく」
「もしあたしが人間の女の子でなかったら、ミツバチになって花に囲まれて暮らしたいわ」

「あなたって空想家ね、うふふっ」
「(はっ)」
「聞いたわよ、あなたの帽子のこと」

「えっ!?」
「日曜学校へかぶっていった花飾りの帽子よ」
「あ…」

「…あれはあたしもまずかったと思っているの」
「後でマリラにうんと叱られたわ」
「でも花で帽子を飾ることが、そんなにおかしなことだとは思わなかったのよ」

「あたし、心の友はあなたに決めていたけど、せめて1人ぐらい話し相手ができるかと期待して出かけたのに、誰も話しかけてくれなかったわ、はぁ、あの帽子のせいかしら…」
「あら! 帽子のせいじゃないわよ!」

「その帽子あたしは見てないけど、とても素敵だったってティリーが言ってたわ」
「ほんと!?」
「ええ! ちょっと奇抜なことは奇抜だけど、とてもきれいで自分でもかぶってみたかったって」

「まぁ、そんなふうに思ってくれた人がいたなんて、あたしちっとも気がつかなかったわ」
「みんなあなたのこと知らないから勝手な噂をしたり、あなたに近づかなかったんだと思うわ」
「でもこれからは大丈夫よ」

「あたしからあなたのことみんなに紹介するわ」
アンはほほ笑みます。
「ダイアナ!」

「あたしね、今まで想像でしか友達をもったことがなかったの」
「ケティ・モーリスだけじゃないの」
「山あいに住んでいた時は、こだまをヴィオレッタという小さな女の子だと想像して話しかけてたのよ」

「ほかに誰もいなかったんだもの」
「あ…は…、でもケティもヴィオレッタも、今では懐かしい昔の友達になったわ」
「だって今あたしには、ダイアナ! あなたがいるんですものー!」

「あは…」
アンは大の字になります。
するとダイアナは立ちあがり…

「あたし、心の友のために『はしばみ谷のネリー』を歌うわ!」
「覚えてね!」
「うん、教えて!」

ダイアナが歌い始めると、アンが歌に加わります。
「花香る野辺に、小鳥は歌い」

「歩むネリーの うるわしき姿」
「歩むネリーの うるわしき姿」
「歌え 響け はしばみ谷の」
「歌え 響け はしばみ谷の」
「こだまを返す 乙女の喜び」
「こだまを返す 乙女の喜び」

歌いながら歩いていると、小川に架かる橋に着きます。
「じゃ、また明日」
「アイドルワイルドでね」

「ええ!必ずね」
「じゃ、さようなら」
「ミニー・メイによろしくね!」

「ありがとう、アン!」
アンは手をふって見送ります。
ダイアナも振り返って手をふりながら帰っていきます。

「(はぁ~っ)」
アンは深呼吸すると振り返って、グリーン・ゲイブルズへと走って帰っていきました。

[24:15]予告
大切なブローチを、アンがなくしたのだと思い込んだマリラは、途方に暮れます。
次回『赤毛のアン』第11章 「マリラ・ブローチをなくす」お楽しみに。

[24:30]エンディング