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赤毛のアン

Anne of Green Gables

『赤毛のアン』アン・シャーリー illustrated by 夏ミトン
illustrated by 夏ミトン
赤毛のアン(3) [DVD]
巻数
第03巻
DVD品番
BCBA-0092→3609
発売日
1999年03月25日
収録時間
103分
ディスク
片面1層
ファイル
ドルビーデジタル
音声種別
モノラル
字幕
日本語(ON/OFF)
税別定価
¥3,800→¥1,800
メーカー
バンダイビジュアル
HP
詳細ページ ※外部
スタッフ/データ
演出
高畑勲
演出助手
馬場健一
脚本
神山征二郎
高畑勲
絵コンテ
とみの喜幸(現:富野由悠季)
場面設定
宮崎駿
画面構成
宮崎駿
背景
西原繁男
石橋健一
玉利和彦
加藤富恵
仕上検査
保田道世
制作進行
高砂克己
作画
篠原征子
桜井美知代
新川信正
岡豊
大島秀範
オープロダクション
村田耕一
才田俊次
友永和秀
後藤紀子
本放送日
1979/03/25
視聴率
18.4%
登場人物/キャスト等
あらすじ
第12章

アン・告白する

[01:25]Aパート
マシュウは納屋の前に農作業用の馬車を用意しており、そこにジェリー・ブートが飛び乗ると馬車を出します。
アンが白状しないまま、一夜明けた水曜日の朝は、ピクニックにはおあつらえ向きの、うららかな上天気であった。マシュウとジェリー・ブートは、干し草を刈りに出かけ、マリラは重い心を引きずって、アンの部屋へ出向いた。

マリラが朝食をもってアンの部屋をノックして入ると、アンは暗い表情で俯いてベッドに腰掛けていました。
二人とも無言でしたが、マリラが朝食を載せたトレーをイスに置こうとするとアンが口を開きます。
「マリラ…」

「あたし何もかも白状するわ」
「はぁ~、やっとかい」
マリラは朝食のトレーをイスに置きます。

「ではあんたの話を聞かせておくれ、アン」
俯いていたアンは顔を上げ、マリラの方を見て…
「あたし紫水晶のブローチをとりました」
無言でコクリと頷くマリラ。

「マリラの言った通りあたしがとったの、部屋に入った時はとるつもりはなかったのよ」
(回想:針山にブローチが刺さっています。)
(回想:「うわぁ~」

(回想:「わぁ~」
(回想:躊躇したがブローチを手にとるアン、そして襟首につけてくるくると回ってみたりします。)
「でもね、胸にブローチをつけたらとってもきれいだったので、あたし誘惑に打ち勝てなかったの」

(回想:鏡の中のアンは白い服にブローチをつけ、ベールを被りティアラを載せていて、後ろには宮殿のような柱もあります。)
「ブローチをつけて、アイドル・ワイルドに行って、コーデリア・フィッツジェラルド姫のように振る舞ったら、どんなに素晴らしいだろうって思ったの」

「本物の紫水晶のブローチをつけていれば、自分がコーデリア姫だと思うのにずっと簡単でしょうからね」
(回想:ブローチをつけたアンが泉のほとりでくるくると回ると、水面に映った姿がコーデリア姫に。)
「ダイアナと一緒にバラの実で首飾りをこしらえたんだけど、紫水晶に比べたら、バラの実なんてものの数じゃないわ」

「それであたし、ついブローチをとってしまったの」
「マリラが帰ってくる前に元の所に戻しておくつもりだったのよ」
「なるたけ長い間ブローチをつけていたかったので、あたし街道を通って回り道をして行ったの」

「そして、きらめきの湖に架かっている橋を渡る時、もう一度よく見ようと思ってブローチを外したの」
(回想:コーデリア姫の格好をしたアンが橋を歩いています。)
「あぁ~、日の光を受けてブローチがどんなにキラキラ輝いたことか」

(回想:アンはブローチを高く掲げますが、ブローチを湖に落としてしまいます。)
(回想:「あっ」 この時点でアンの格好はコーデリア姫ではなくなっていつもの服に戻っています。)
(回想:「あああぁ…」

「そう、沈んでいったの」
「紫色に光りながら、下へ下へとズンズンズンズン…」
「ブローチはきらめきの湖の底に、永久に沈んでしまったわ」
「これがあたしの精一杯の告白なの」
「・・・」

[05:30]POINT
「アン、ひどいじゃないか!」
「あんたみたいな悪い子がいるなんて聞いたこともないよ!」

「ええ、あたしもそう思うわ」
「そしておしおきを受けなくちゃならないことも分かってるわ」

「あたしをおしおきするのはマリラの務めよ、どうかそれを今すぐ済ませて下さらない?」
「何も気にかけずに、せいせいした気持ちでピクニックに行きたいんですもの」

「ピクニックだって? まさか!」
「今日はピクニックに行かせないよ!」
「アン・シャーリー!」

「それがあんたのおしおきだよ!」
「それだってあんたのしたことを思えば半分の罰にも足りゃしないよ!」

「ピクニックに行けないだって!」
「だって行ってもいいって約束したじゃない!」
「ねえマリラあたしピクニックにどうしても行かなくちゃならないの、だから白状したのよ」

「ピクニックだけは行かせてから、どんなにでも好きなように罰してちょうだい」
「ねえマリラ」
「どうかお願いだからピクニックに行かせて!」

「アイスクリームのこと考えてよ!」
「あたし二度と食べるチャンスがないかもしれないのよぉ!」

「いくら泣いても無駄だよ、アン!」
「どんなことがあってもピクニックにやるわけにはいかないよ!」
「あぁ~!もう何も言わないでおくれ!」

マリラがアンの部屋を出て行こうとすると、アンは感極まり泣き叫びます。
「あ…、あ…、イヤーーー!!!」

「イヤーー!! そんなぁ… う・う…、…、…」
アンはベッドを叩きながら泣き続け、マリラはそーっと後ずさりしながら部屋を出てドアを閉めます。

マリラは階段を降りてきて上を振り返り、未だ号泣し続けるアンの声を聞きます。
「あの子はきっと気がどうかしちゃったんだよ」
「正気の子だったら、あんな振る舞いはしないだろうからね」

「気がどうかしてないとしたら、よくよく悪い子だ」
「どうもレイチェルは初めっから、正しかったようだ」

マリラは台所に戻ってきて、一つ大きくため息をつき…
「だけどやり出した以上、済んだことのグチなどこぼすまい」

一方アンはまだベッドに突っ伏して泣き続けています。
「うううぅ…、うううぅ…、ううううう…」

マリラにとって、散々な朝であった。マリラは猛烈な勢いで働いた。何もすることがなくなってしまうと、あちこちを磨きたてた。どこも磨かれる必要はなかったが、マリラにその必要があった。

「うっ、うっ、うっ、うっ、うわぁ~~~あああ!!! うぅ・ぅ・ぅ・ぅ……」

マリラは井戸の水を汲み上げ、拭いたり掃いたり黙々と掃除を続けます。
そこに干し草をこんもりと積み込んだ馬車に乗ってマシュウとジェリー・ブートが帰ってきます。

場面はダイアナの家へと変わります
バリー夫人が、ダイアナの持っていくお菓子を作っています。
またダイアナは満足そうにバリー夫人が仕立てた服を着てみせ、夫人もまた自画自賛。

ダイアナは当然グリーン・ゲイブルズで何が起きているかなど知る由もなく、アンがアイスクリームを食べたことがなくて今日のピクニックにすごく期待している、などと楽しそうに話します。
そしてこの二人の間でミニー・メイはテーブルの下からずっと、お菓子を食べたそうに見上げ、催促しています。

場面はグリーン・ゲイブルズへと戻り、マシュウが勝手口から入ってきます。
マリラは昼食の準備を済ませ、アンを呼びに階段下まで行きます。
「アン、ごはんだから下りてきなさい」

[10:10]POINT
暫く反応がなくマリラは居間に戻りかけましたが、その時アンは自分の部屋のドアを開け階段の上のところまで出てきました。
アンは泣きじゃくりながら階下を覗いて…
「お昼なんか欲しくないわ」

マリラは目を見開き、ソファーに座っていたマシュウは立ちあがりました。
「何も食べられないの、胸が張り裂けそうなのよ」
「あたしをこんな目にあわせて、いつか心から後悔することがあると思うわマリラ」

今度は怪訝そうな表情になるマリラ。
「でも、あたし許してあげるわ!」
「その時がきたら、あたしが許したことを忘れないでね」

「でもお願いだから何か食べろなんて言わないでちょうだい」
「特に豚肉や野菜の煮物は困るわ」
「悩みを抱いてる者に、豚肉や野菜の煮物はあんまりロマンチックじゃなさすぎるんだもの…」

「へぇっ…」
呆れかため息かというような声を残し戻っていくマリラ。
アンも泣きじゃくりながら部屋に戻りベッドに腰掛けると、また涙を大量に溢れさせ…
「アイスクリーム…、うぅぅ…」

アンが下りてこないため、マシュウ、マリラ、ジェリー・ブートの3人で昼食を始めます。
「そうさのう、あの子もブローチをとったりウソをついたりしちゃいかんな」
「しかし、あの子はまだ小さいんだし、とても面白い子じゃないか」

「あんなに行きたがっているのにピクニックに行かせないなんて…」
「マシュウ・カスバート!」
「あんたにはあきれますね」

「あたしはあんまり簡単に許してやったと思ってるぐらいなんですよ」
「それに、あの子は自分がどんなに悪かったかちっとも分かってないらしいんだもの」
「あたしはそれが一番心配なんです」

「あの子が本当に悪いと思っているんだったら、これほど心配しなくても済むんだけど」
「兄さんはそこんとこが、分かってないようですね」
「いつもあの子の言いわけばかりしているんですから」

「そうさのう、あの子は…」
「むしゃむしゃ、ずずず、んぐんぐ」
我関せずなのかわざとなのかジェリー・ブートが大きな音をさせて食べています。
「あの子は何と言ってもまだ小さいんだよ、大目に見てやらなくちゃな、しつけを受けたことがないんだから」

「それを今してるんじゃないんですか!?」
「むしゃむしゃ、ずず…、おわ~」
ジェリー・ブートが食べ終わったのがきっかけか、この会話は一旦打ち切りとなりました。

[12:40]Bパート
マシュウとジェリー・ブートはまた馬車で仕事場へと向かい、マシュウはアンの部屋の窓を見上げてアンの心配をします。
アンはベッドを背もたれにして床に座ってじっとしています。
マリラは昼食の後片づけをしたり、クッキーを焼いたり、鍋を磨いたり、とにかく家事を続けます。

その頃教会では、馬車が到着し子供達がたくさん降りてきます。
「わぁー!」
「わーい!」
「それー!」

アンは今度はベッドに座っていましたが、そっと立ちあがり窓の方へ行って外をぼーっと眺めます。
マリラは外に行っていたようで、勝手口を開けて前掛けを叩いてから居間に入ります。
「あ、そうだ、あれを繕っておかないと…、出かける時に慌てるのはイヤだからね」

マリラは自分の部屋に行き、床に置いてあったトランクケースをベッドの上に置いて開け、中にあった肩がけを広げます。
マリラが肩がけを持ち上げて見ていると、時折何かが光を反射してキラキラ光ります。
「あっ」
失くしたはずのブローチがその肩がけに引っ掛かっていて、肩がけを持っているマリラの手がプルプルと震え出します。

マリラはブローチを肩がけから外してよく見ます。
「まあ一体どうしたというんだろう」
「バリーの池の底に沈んでいるとばかり思っていたブローチがここにあるなんて…」

マリラはドアを開け部屋を出ようとしたところで立ち止まり…
「でもあの子はどういうつもりでブローチをとって失くしたなんて言ったんだろう」
「ああ、本当にグリーン・ゲイブルズは何かに取りつかれているんだ」

「あ痛っ!」
ブローチの針を指に刺してしまうマリラ。
「あぁ月曜日の午後だ」

「あの肩がけを脱いでから、鏡台の上にちょっと置いたんだ」
(回想:マリラはその肩がけをブローチが引っ掛かったまま鏡台の上からトランク・ケースに移します。)
マリラはブローチをよくよく見ながら…
「やれやれ…」

「さてと!」
マリラが部屋を出るとポーンと時計が一つだけ鳴ります。
マリラは家を出て小走りで農場へと向かいます。

「ジェリー・ブート! すぐに馬車の用意をしておくれ!」
「急用ができたんだよ!」
それだけ伝えるとマリラは踵を返し、ジェリー・ブートとマシュウは無言で顔を見合わせます。

小走りで帰ってきたマリラはさらに急ぎ足で二階に上がり、アンの部屋の前で…
「はぁ~」
一呼吸整えてからコンコンとノックをし…
「入るよアン」

マリラが部屋に入るとアンは窓縁に腰掛け、ぼぅ~っと外を眺めていました。
「アン・シャーリー」
名前を呼ばれたものの、アンは完全には振り向かずに目だけマリラのほうを見ます。

マリラはアンの方へと歩み寄り、アンの目の前にブローチを持ってきて見せます。
「たった今ブローチがショールに引っかかっているのを見つけたんだよ」
「さあ、あたしが今朝聞いた訳の分からない話の意味を知りたいね」

「あら、だってあたしが本当のことを白状するまで、あたしをここに閉じ込めておくって言ったでしょう?」
「だからあたし告白することにしたのよ」
「どうしてもピクニックに行きたかったんだもの」

「昨日の晩、寝床に入ってから告白の文句を考え出したの」
「できるだけ面白いものにしたのよ」
「そして忘れないように、何度も何度も言ったの」

「でも、マリラは結局あたしをピクニックに行かせてくれなかったんだから、はぁぁ、せっかくの苦心もみんな無駄になってしまったわ」
「(く・く・く…)」
「あっ、はっ、はははは…、はっはっはっ…、…」

最初は笑いを堪えていたマリラですが、ふき出してしまい、さらに大笑いしてしまいます。
「ごめん、ごめん、あんたには負けたよ」
「アン、悪かった、あたしが悪かったよ」

「今まであんたが一度もウソをついたことがないんだから、あんたの話を疑っちゃいけなかったんだね」
「・・・」
マリラの顔を見るだけでアンは無表情、無言のままです。
「むろん、やりもしなかったことをやりましたなんて告白するのも正しいことじゃないよ」

「とても悪いことだよ」
「でも、私がそうするように仕向けたんだからね」
「だから、もしあたしを許してくれるんだったら、私もあんたを許してあげるよ、アン」

マリラの顔を見ながら無言で頷くアン。
マリラはアンの手をとり…
「そしてもう一度やり直そうじゃないか」

「さあ、ピクニックに行く支度をしなさい」
「ふわぁ!」
満面の笑みで立ち上がるアン
「あぁ、アイスクリーム~!」

「はっ! でもマリラ、もう遅すぎるんじゃないかしら?」
「大丈夫! まだ2時だよ、お茶までには1時間もあるよ」
「顔を洗って髪をとかして、綿じゅすの服を着なさい」

「うん!」
「あたしはバスケットをつめるからね、焼いたものがどっさりあるよ」
「それから、ジェリー・ブートに、馬車でピクニックの場所まであんたを送らせるからね」

「うわぁ~、マリラ~!ぁっはっふ」
「5分前には、あたしとてもみじめな気がして、こんなことなら生まれてこなければよかったと思ったけど…」
顔を洗うアン。

「今じゃ天使にしてあげると言ったって断るわ!」
「さあ、アイスクリームが食べたかったら急ぐんだよ」
「はっ」
急いでもう一度顔を洗います。

マリラがクッキーを布で包んでバスケットに入れます。
「まぁ~そんなに一杯!?」
「あら、雪の女王様のサクランボね」

「できたてのキイチゴのジャムも入れといたよ」
「はっ、行っといで」
バスケットを持ち上げアンに手渡します。
「ありがとうマリラ、行ってきまーす」

アンは走って家を飛び出します。
「気をつけてね、はしゃぎ過ぎるんじゃないよ」
外で待機していたジェリー・ブートの馬車に乗り込むアン。
「ふふっ」

「ジェリー、急いでやっておくれ」
「へい」
「行って参りまーす」

ジェリー・ブートが馬車を出し、見送るマリラはやっと安堵の表情を浮かべます。
アンは草原を走ります。
「ダイアナー!」

「ダイアナ―!!っ」
「アン!」
「あははは、うふふふふ」
「あははは、うふふふふ」

アンはピクニックの最後尾にいたダイアナに追いつき、二人手をつないで走って列に加わります。
ティータイムの会場ではご婦人たちがアイスクリームの準備をしていて、その間女の子たちは蓄音機の音楽でフォークダンスを踊ります。
「ふふふふ」「あははは」「はははは、……」
「ふふふふ」「あははは」「はははは、……」

「はい、アイスクリームだよ!」
ベルさんが手を叩きながら子供達を呼びます。
「うわぁ」
アンはダイアナの手をとって立ち上がり、まっ先にベルさんのほうへと走っていきます。
「アイスクリーム~!」

リンド夫人にアイスクリームを盛ってもらい受け取るアン。
「うわぁ~!」
アンは山と盛られたアイスクリームをスプーンで崩し一片口に入れます。

崇高なるもの illustrated by 夏ミトン
illustrated by 夏ミトン

「ん…、ん~~~♪」
アンはダイアナと顔を見合わせ、ダイアナはニッコリ、アンはまたすぐにもう一口。

アンとダイアナは他の女の子達と一緒にスイレンの花が咲いている池でボートに乗せてもらいます。
「あ~!!」
「おっとっと!」

女の子の一人が花を取ろうとしてボートから身を乗り出し過ぎて落ちそうなりますが、おじさんが掴んで引き戻したので落ちずにすみました。
「おっお、おっお、あ、はははは、ふふふ…」
おじさんが引き戻した勢いでボートが左右に揺れ、アンとダイアナも大きく揺さぶられますが、アンは大喜びです。

グリーン・ゲイブルズに帰ってきたアンはマリラとマシュウに今日のことを次々と話します。
「ねえマリラ、今日はあたし実に愉快極まる時を過ごしてきたのよ」
「愉快極まるっていうのは、今日覚えたばかりの新しい言葉なの」

「メアリー・ベルが使っているのを聞いたの、とっても感じが出てるでしょう?」
「何もかも素敵だったわ」
「おいしいお茶をいただいたあと、ハーモン・アンドリューズさんが、あたしたちみんなをボートに乗せて下さったの」

「ジェーン・アンドリューズは、もう少しでボートから落ちるところだったのよ」
「スイレンを摘もうとして身を乗り出したの」
「アンドリューズさんがその子のベルトを掴むのが、ほんの少しでも遅かったら、水の中に落ちて溺れていたでしょうね」

「そんな目にあったのがあたしだったらよかったのになぁ…」
「溺れかけるなんてとってもロマンチックな経験でしょうねぇ」
マリラとマシュウは顔を見合わせます。

夕食が終わりマリラとアンは後片付けを始めますが、アンの話はなおも続きます。
「それからアイスクリームを食べたのよ」
「そのアイスクリームのおいしさは、言葉ではとても言い表せないわマリラ~」

「ほんとにほっぺたが落ちそうだったわ」
「崇高なるものって、ああいうもののことを言うんじゃないかしら?」

やがて居間はマリラとマシュウの二人になり、マリラは繕い物をしながらマシュウに話しかけます。
「あたしが間違っていたことはあっさり認めますよ」
「でもいい勉強になりました」

「アンの告白のことを考えると笑いたくなってねぇ」
「笑うどころのことじゃないと思いながらもあのウソの話があんまりね…」
「アンがウソをついたのはいけない筈なんだけど、どうもそれほど悪いとも思えませんしね」

「もとはと言えば、あたしの責任だったんですからね」
「・・・」
「あの子にはどこか得体の知れないところがありますね」

「でもね、これからいい方に向いていくでしょうよ」
「うむ」
マシュウは満足そうに頷きます。

「それから1つだけ確かなことは…、どんな家だってあの子のいる所では退屈はありっこないってね」
「そうさのう」

アンはベッドの前に膝をついてお祈りし、外を眺めるとロウソクの灯を消して床につきました。

[24:15]予告
ダイアナと共に学校へ向かうアンの心ははずみます。
次回『赤毛のアン』第13章 「アン・学校へ行く」お楽しみに。

[24:30]エンディング