プリンスエドワード島へ船で向かう赤い髪をした少女がいました。
孤児である彼女の名前はアン・シャーリー。
同じ頃グリーンゲイブルズと呼ばれる所に住むカスバート兄妹は、
年老いてしまったので農作業の手伝いとなる10歳くらいの
男の子がほしいと思っていました。
そして、友達のスペンサー夫人の紹介で孤児院から男の子を
譲り受けることになったので、兄のマシュウ・カスバートは
その男の子を迎えにブライトリバー駅へ馬車で向かいました。
スペンサー夫人は二人の女の子を連れて汽車に乗っています。
汽車はブライトリバーに到着し、夫人は駅長に待ち人を尋ねました。
しかし夫人はその人と会えなかったので、一人だけ下ろした女の子に
ここで待つように言って、また汽車に乗って行ってしまいました。
その女の子はアンでした。
しばらくして、ブライトリバー駅にはマシュウがやってきました。
マシュウはアンを一瞥しますが、男の子を迎えにきた彼にとって
女の子であるアンには関心がありませんでした。
人前が苦手で、とくに女性は子供であっても恐ろしいと感じる
マシュウにとっては、むしろアンの存在が落ち着きを失わせていました。
視線をそらすよう懐中時計に目をやるマシュウは、その時計が
止まっていたことに気づきます。待っていた汽車はもう行って
しまっていて、スペンサー夫人とは会えなかったのです。
マシュウが駅長に尋ねると、スペンサー夫人が連れてきたのは
外で待っているあの女の子だと言います。
「グリーン・ゲイブルズのマシュウ・カスバートさんでしょう?」
アンはマシュウに話しかけてきました。苦手である女の子と
思いがけなく話すことになってしまったマシュウ。
そんなこととは露知らず、アンはハイペースで話し続けます。
男の子を迎えに来たマシュウは、女の子であるアンをどうすれば
いいのか分からず戸惑います。
マシュウはとりあえずアンを馬車に乗せてグリーン・ゲイブルズに
連れて行くことにしました。
やがてマシュウ自身驚くことに、苦手であるはずの女の子のお喋りに
耳を傾けて、いつになく愉快な気分になっていたのです。
しかし、グリーン・ゲイブルズに近づくにつれ、マシュウの心は
ひどく痛みました。自分の家の子になれることを心から喜ぶアンに
本当のことを明かさなければならない時が近づいてきているからです。

